「仕事が早い」に価値はない。AI時代の「優秀さ」の定義はどう変化する?
一方、AIを味方につける人は何をしているのでしょうか。それは、AIに指示を出して成果を得る人です。つまり、仕事の目的を定め、得たい成果を明確に言語化し、AIに指示できる人のことを指します。
前提として、少なくとも現時点では、AIには自律的な意思がありません。たとえば人間が「新規事業を作り、市場を制覇せよ」と命令するなど、その思想を学習させればあとは自律的に実行するかもしれませんが、AI自ら「市場を制覇しよう」という目的設定をすることはありません。
AIには、それを実行する理由=意思がないからです。将来的にはAGI(汎用人工知能)が登場してそういう世界になる……という予測もありますが、実現するかわからないことを、ここでは論じません。
繰り返しですが、現時点ではAI自体に意思はありません。そのため、何をさせたいか、誰のためにどのような価値を生みたいかを設計できる人こそが、AIを最大限に活用できます。
これは、突き詰めれば「プロンプトを書く仕事」です。ここでいうプロンプトとは、AIへの指示や質問をする文章のことを指します。
AIを味方につけるには、望むアウトプットを引き出すこと
ビジネスにおけるプロンプトとは、AIに意図や目的、条件を的確に伝え、望ましい成果物を引き出すための設計図のようなものです。プロンプトが仕事の目的に沿っていなければ、AIのアウトプットも仕事の成果にはつながりません。
人間に問われるのは、たとえば、以下のような問いを自分の仕事に対して投げかけられるかということです。
・誰のための仕事なのか?
・この仕事はなぜ必要なのか?
・この仕事によって、どのような成果を得たいのか?
これを考え抜き、AIに伝え、望むアウトプットを引き出すのが「AIを味方につける」スタイルです。AIと競うのではなく、AIを動かす側に回ること。その意識をもてるかどうかで、キャリアの方向は大きく変わります。
これはエンジニアや経営者などの、限られた職種だけの話ではありません。あらゆる職種、あらゆるレイヤーで求められる思考スタイルです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら