「仕事が早い」に価値はない。AI時代の「優秀さ」の定義はどう変化する?
AIは手段の最適化には優れていますが、目的の設定はできません。仕事の目的は、人間のために存在します。何を目指すのか、なぜそれを行うのかといった意味の部分は、依然として人間にしか担えないのです。
また、何を実現したいかを決めるのは人間の仕事です。言い換えると、「目的を達成したと言える、成果の定義とは何か」を決めるのは、目的を定めた人間自身でしかありえないということです。
この「目的」と「成果」の間にある「中間プロセス」こそが、AIが得意とすることなのです。よって、AIを軸に考えた場合、仕事は大きく2つに分かれていきます。
・AIに代替されていく「中間プロセス」の仕事
・AIにはできない「目的」と「成果」を定義する仕事
言うなれば、AIの脅威におびえる人になるのか、AIを味方につけて飛躍的な成果を出す人になるのかという分岐点に、私たちは立っているのです。
なぜ、生成AIの登場が従来とまったく異なるのか
過去にも技術革新が仕事に影響を与えたことはありました。
たとえばインターネットの普及で「総合商社の仲介の仕事は不要になる」と言われていました。実際にはそんなことは無かったのですが、情報アクセスや物流にも大きな影響を与えたことは確かです。のちにはスマホの登場で情報アクセスが一変したり、ビッグデータの進化でビジネスのありようが変わったりもしてきました。
しかし生成AIの登場は、それらとは次元が異なります。AIは単なる道具ではなく「仕事の中間プロセスすべて」を肩代わりします。目的を決め、得たい結果を設定すれば、残りはすべてAIが担います。
これは、仕事の構造を変えてしまう出来事にほかなりません。
だからこそ、私たちは「AIに任せられる仕事は手放す」覚悟と、「AIを活用して価値を引き上げる」技術の両方を身につけなければなりません。自分のキャリアが今どちら側に位置しているのかを見極め、行動を変える必要があります。
それは悲観でもなく、ましてや人間の敗北宣言でもありません。人間にしかできない仕事へと進化する、絶好の機会だと考えています。



















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