【超巨大戦艦「大和」の復元に懸けた男たち】沈没したときの姿はどうだった? 海底映した60時間の映像と2000枚の画像を解析して見えてきたもの

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最終状態の大和の姿を検証する資料としてもっとも重要なのは、海底調査時に撮影された写真とビデオだ。ビデオは約60時間分あり、ここから検討のために出力された画像は2000枚にものぼった。この水中写真から判明したことは少なくない。

従来まったく知られていなかったが、艦首下部に作業用のジャッキステイが2列存在することが判明した。しかし、映像では残念ながらその一部しか見えず、どこまで設置されているのか確認が取れなかったので、今回は製作せず、今後の研究課題とした。

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船体の全周に装着されている磁気機雷対策のための舷外電路は、ほとんどが電線むき出しの状態であることがわかった。ここについても、今回はこれまでの説に従って、カバーをつけた姿で製作したが、いずれカバーのある部分とない部分が明らかになれば改修する予定である。

主砲塔は現在に至っても原図が発見されていないため、正確な形状がつかめない。多くの関連資料を総合して再現しようとしたものの、その背面についてはどうしてもわからなかった。ところが今回、海底のビデオから、転倒した主砲塔の背面を写した場面が確認された。泥をかぶって明瞭ではないものの、何とか形状を推定することができた。

艦橋まわりは残されている図面と異なる細部が確認され、製作者側の悩みの種となったが、基本的に写真にあわせた。

甲板上の艤装品に関しても、多くの新発見があった。とくに艦尾に増設されていた機銃座などは思いもかけない形状で、海底写真がなければ推定すら困難だっただろう。

既存の写真も細部まで入念にチェック

以前から知られている大和と武蔵の写真に関しても、1枚ずつ徹底的に拡大してチェックを行った。

大和ミュージアムが所蔵する写真の多くは、呉海軍工廠の写真班によって撮影されたもので、原板は手札サイズからキャビネサイズのガラスネガであるため、その鮮明さ、明瞭さは想像をはるかに超えたものだった。艦の全長が5センチ程度の写真でも、拡大すると艦橋の中にいる乗員の姿が見えるほどだった。こうした作業で写真から得られた情報を、図面に落とし込んでは製作図とした。

また、断片的に残されている乗組員の記念撮影は、とくに貴重な資料となった。なにげないスナップからも多くの情報が得られる。もともと極秘のうちに建造された大和では写真撮影が厳禁だったために、他の戦艦と比べれば残された写真は極めて少ない。

関係者が記念撮影をするときも、艦や主砲の大きさがわかるアングルでの写真撮影は行わなかった。そのため、細部についてはわからない部分のほうが多いといってよいほどだった。

このような状況下で不明箇所を推定しながら作業を進めるには、図面や写真の他に、乗員の証言が重要なポイントになることも多かった。出入口はどこにあったか、その扉はどちらに開いたかといったことから、各部分の配色に至るまで、事細かな考証が行われた。

【あわせて読む】【戦艦「大和」復元への道】『ゴジラ』の街並みを作った会社も協力、2000枚もの写真を使って…「十分の一戦艦大和」建造で味わった"生みの苦しみ"
戸髙 一成 呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)館長/日本海軍史研究者

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とだか・かずしげ / Kazushige Todaka

1948年生まれ、宮崎県出身。多摩美術大学美術学部卒業。(財)史料調査会主任司書として、 海軍反省会にも関わり、特に海軍の将校・下士官兵の証言を数多く聞いてきた。 92年に理事就任。 99年、厚生省(現厚生労働省)所管「昭和館」図書情報部長就任。2005年より現職。19年、『[証言録]海軍反省会』(PHP研究所)全11巻の業績により第67回菊池寛賞を受賞。
著書に『日本海軍戦史 海戦からみた日露、日清、太平洋戦争』(角川新書)、『帝国軍人 公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる』(大木毅氏との共著、角川新書)、『日本海軍 失敗の本質』(PHP新書)などがある。

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