キリスト、釈迦がともに苦しんだ断食による「血糖値の上下」がもたらす心の揺れと、悟りの関係
イエスは公の活動を始める直前、「四十日四十夜断食し、その後空腹を覚えられた」(マタイ4:2)と記されている。これは大変な極限状態といえる。
このとき悪魔が現れ、3つの誘惑を試みる。
1 石をパンに変えよ
2 神殿の頂から飛び降りよ
3 この世の国々とその栄華を与えよう
宗教的には「信仰の試練」として理解される場面ではあるが、その構造には、実は現代人が欠食・断食をしたときの空腹時に経験する“心の揺れ”と共通する部分が多いのだ。
以下、検証していこう。
世界が突然明瞭に見え、判断が大きく振れる
① 石をパンに変えよ
断食初期には激しい空腹が生じる。
血糖が低下した脳は糖を求める指令を強め、思考は一気に“食べたい”へ傾く。断食初期には強い空腹感が生じやすく、脳は糖を求める指令を強める。これは現代人が午後に覚える「甘いもの衝動」に近い。
聖書はこの内的欲求を象徴的に「悪魔の声」と表現している(※血糖を維持するための様々なホルモンが働くため「血糖」自体が下がっているとはかぎらないため)。
② 神殿の頂から飛び降りよ
空腹が続くとストレスホルモンが上昇し、思考は極端になりやすい。詳しくは拙著『気分の9割は血糖値』をお読みいただきたいが、「血糖低下 → 交感神経亢進 → 不安の増幅」という流れは人間にとって普遍的な作用である。
「神殿の頂から飛び降りる」というのは追い詰められた心が“自分を試したくなる”方向へ揺れる瞬間といえる。
③ この世の国々とその栄華を与えよう
断食が長期化すると、体は糖ではなく脂質を燃やす「脂質代謝(ケトン代謝)」へ移行する。
この代謝の変化は脳に独特の作用を与える。つまり、雑念が減り、思考が澄むように感じられることがあるのだ。
そのため、
・世界が突然明瞭に見える
・判断が大きく振れる
といった状態が生じうる。


















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