リンは骨や細胞を維持する役目を果たしていて、人体にとって絶対に欠かせない物質です。しかし、体内で過剰になると細胞毒のように働いて、老化を進ませたり病気を引き起こしたりする原因になります。とくに腎臓への影響は大きく、普段からリンの多いものばかり食べていると、ネフロンがダメージを受けて腎機能低下が進んでしまうことが分かっているのです。
しかも、リンは非常に多くの食品に含まれているうえ、無味無臭のため、知らず知らずのうちにいつの間にか過剰摂取をしてしまっていることが少なくありません。
無機リンの体内への吸収率は90%以上
リンは「有機リン」と「無機リン」とに分かれています。この2つは「有機リン→それほど問題のないリン」「無機リン→大きな問題を引き起こすリン」と考えてもいいでしょう。
有機リンは、肉、魚、乳製品、卵、野菜、穀物などに幅広く含まれているリンで、なかでもたんぱく質系食品の含有量が多めです。もっとも、有機リンの体への吸収率は20~60%とさほど高くはありません。ですから、有機リンに関してはそれほど神経質になる必要はないでしょう。
また、有機リンのなかでも納豆、豆腐、油揚げなどの大豆たんぱく質に含まれているリンは、体内で吸収されることは少なく、大半は便とともに体外に排出されるので、多く摂取しても問題ありません。大豆製品は「食べてもいいリン」と覚えておくといいと思います。
一方、無機リンは、加工食品などの食品添加物中に多く含まれているリンです。この無機リンの体内への吸収率は90%以上。口から入った食品添加物中のリンはすべて吸収されていくと思ったほうがいいでしょう。すなわち、こちらは普段の食生活で「極力減らしておきたいリン」ということになります。
ところが、日本においてはわたしたちが日常的に食べているものの多くに食品添加物が使用されているのです。とくに食品添加物使用量が多いのが加工食品で、たとえば、加工肉、水産加工食品、カップ麺、即席麺、冷凍食品、菓子パン、スナック菓子、おつまみ類、プリンやゼリー、ケーキなどのスイーツ、漬物、調味料、清涼飲料水……。このように、ありとあらゆる加工食品に添加物が使用されているのです。
要するに、わたしたちの体に過剰に入ってくるリンのほとんどは、こうした加工食品の食品添加物によって侵入してくるということ。ですから、腎臓を守るためのリン対策は、食品添加物由来のリンをいかに減らすかの工夫が中心となるのです。



















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