公式Xは「大ヒット上映中」と宣伝…。大コケとされる《果てしなきスカーレット》は単純な興収ならヒット?"映画興行の最新ヒット基準"を考える

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メディアコンサルタントの境治氏が指摘しているが(記事はこちら)、日本テレビによる公開前の大量テレビ露出から醸成された作品イメージが、逆に作品離れを引き起こすネガティブプロモーションになってしまい、そもそも映画館に足を向ける人が少なかった。そこに公開直後のSNSの不評の波が重なり、本作の興行の大きな流れが決まった。

(画像:『果てしなきスカーレット』ⓒ2025 スタジオ地図 2025年11月21日(金)公開)

これまでの主な細田作品の興収を振り返ると、『時をかける少女』(06年)が2.6億円、『サマーウォーズ』(09年)が16.5億円、『おおかみこどもの雨と雪』(12年)が42.2億円。

『バケモノの子』(15年)が58.5億円、『未来のミライ』(18年)が28.8億円、『竜とそばかすの姫』(21年)が興収66億円と、高い評価を受けた名作『サマーウォーズ』のヒットから、興収規模を大きく拡大させてきた。

ただ、数字が大きくなる一方、アニメファンの間では、『おおかみこどもの雨と雪』以降の大ヒットを続ける細田オリジナル脚本作品への厳しい声も生まれていた。

興収を右肩上がりで伸ばすなか、唯一数字を落とした『未来のミライ』は、内容こそ異なるが、細田監督の個人的な思いが強くにじみ出る点で『果てしなきスカーレット』に通じる。この作品性が細田作品であり、ここがデフォルトになるという見方もできる。

(画像:『果てしなきスカーレット』ⓒ2025 スタジオ地図 2025年11月21日(金)公開)

細田作品ファンの数は先細りしているのか

『竜とそばかすの姫』は、前作『未来のミライ』の倍以上となる興収を記録したが、この背景には“市場環境の変化”があるだろう。

興収407.5億円という記録的大ヒットとなった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20年)が1つの起点となり、コロナ禍を経てアニメファンの裾野は一気に広がった。

人気シリーズのビッグタイトルや人気作家のアニメ作品は、それまでのアニメファンだけでなく、広く一般層が映画館に足を運ぶイベントムービーとなり、ヒットスケールが大きくなったのだ。

『ONE PIECE FILM RED』(22年)の203.4億円、『THE FIRST SLAM DUNK』(22年)の166.7億円、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(24年)の116.4億円などの流れのなかで、『竜とそばかすの姫』の大ヒットも生まれている。

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