【東大コスパ論争の行方】桜蔭&西大和の合格者が激減! 令和のトップ層が「次の進路」を目指す背景
まず最近特に顕著なのが、「トップ層の医学部志向」です。桜蔭の医学部合格者数は2022年度113名から2025年度は140名になっています。西大和学園も53名から105名となっており、こちらはほぼ倍増です。
つまり、東大志願者が減ったのではなく、医学部志願者が増えているのです。
これは進学校の“学力低下”ではなく、選好の変化だと見るのが妥当でしょう。
なぜ、医学部に人気が集中する?
ちょうど、東大から医学部に志望変更した生徒に話を聞いたことがあります。彼はこんなことを言っていました。
「東大を目指すには熾烈な競争があるし、東大に行っても就活でさらに競争が続く。だったら医学部に行き、医師国家試験を取ったほうが、ここまで中学受験や学内での勉強といった競争で勝ち取ってきた“努力の成果”を確定できると思った」とのこと。
もちろん医師国家試験に合格できるかどうかは競争ですが、他の競争と比べればそこまで強くない。東大に行っても学部の選択や就活などいろんな競争がある。そうなると、そこまで挑戦をして東大に行かなくてもいいのでは?ということですね。
これはいわば、「医学部利確(『医学部利益確定』の略)」と呼べる現象で、最近急速に広まっています。
医師免許さえ取ってしまえば、どこかのタイミングでキャリアが途切れても、別の病院で再び働き、安定した収入を得られる。医療業界は専門性が高く、スキルのポータビリティ(持ち運び可能性)が最も強い領域の一つです。
特に女子生徒からは、「一度キャリアが止まっても、同じ年収レンジで復帰できる資格が欲しい」という声がよく聞かれます。
こうした“手に職志向”は男女を問わず強まっており、医師だけでなく薬剤師など資格職志望も伸びています。誤解を恐れずに言ってしまえば、「賢いからこそ、賢い選択としての医学部を選択している人」が多いのだと考えられます。



















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