"正論"で顧客を激怒させた若手コンサルの悲劇:「上司に詰められた」「案件が炎上した」…痛い目を見たおじさんこそAI時代に重宝される理由
なぜ、優秀なはずの若手が、そんな「危険物」を平気で上司に提出してしまうのでしょうか。彼らが無責任だから? 能力が低いから? それがZ世代の特性だと諦めるべきなのか?
どれも違います。理由はもっと単純なことです。彼らは仕事で「痛い目を見たことが少ない」からです。
私たち40代以上の世代は、若手の頃に散々な目に遭ってきた人も多いでしょう。事実確認を怠って上司に何時間も詰められた。不用意な判断で案件が炎上して、関係者全員で火消しに追われた。そんな「修羅場」をくぐり抜けてきました。
実は、その「痛みの記憶」があるからこそ、AIが出してきた成果物を見た瞬間に身体が反応するのです。「このデータの出所、怪しくないか?」「この言い回し、あの時の炎上案件と同じ匂いがするぞ」といった具合です。
これは論理的な思考というより、「生存本能に近い直感」です。過去の失敗体験の「心臓がバクバクした」「緊張で胃がキリキリした」といった記憶が、脳内だけでなく身体に「警報システム」として刻み込まれているのです。
このような仕組みは「ソマティック・マーカー仮説」と呼ばれ、脳科学や心理学の研究対象にもなっています。
要するに、身体に変化が起きるほどの経験の積み重ねが、強固な直感を作るということです。だからこそ、AIが作った成果物に対しても、すぐに違和感を覚えて修正することができるのです。
「正論」で顧客を激怒させた若手コンサルの悲劇
一方で、コンプライアンスやハラスメント対策が進んだ環境で、過度に守られて育った若手には、この「痛み」の記憶がありません。だから、AIが作った「きれいなゴミ」を、悪気なくそのまま持ってきてしまうのです。
「痛み」を知らないことがいかにリスクか。象徴的なエピソードがあります。かつて私が目撃した、ある優秀な若手コンサルタントの失敗事例です。



















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