なぜいま注目される?札幌の「春の風物詩」といわれるシェアサイクル「ポロクル」

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それから30年が経過した1990年代になっても、課題はセキュリティだった。デンマークのコペンハーゲンでは、コインをデポジットで解錠・施錠するシステムが登場するも普及しなかったという。

しかし、2000年代に入ると大きく状況が変わる。通信の活用により、シェアサイクルの新たなる可能性が広がったのだ。

ドイツ・ハンブルクのシェアサイクル(写真:Gorlovkv / PIXTA)

たとえばドイツでは、電話による貸出返却「Call a bike」が始まり、フランスのリヨンやパリではITを使った無人管理型サービスが登場。さらに2010年代に入ると、スマートフォンの世界的な普及が、シェアサイクルの需要を後押しした。

その中で、貸出返却ポートが不要なサービスが中国で大ブレイクするも、過剰投資でシェアサイクル事業のバブルが崩壊。それと入れ替わるように、今後は電動キックボードのシェアリングサービスが、世界各地で登場することになる。

日本では、1990年代後半から2000年代初頭にかけて有人管理や、無料鍵なし共有サービスが登場。秋田県二ツ井町(現:能代市)や香川県高松市で事例がある。

その後、2000年代後半になると、東京や札幌でもITを使ったシェアサイクルの実証実験が始まる。これがポロクルの基点だ。

行政主導ではなく「草の根的な活動」から

では、いまポロクルが多方面から注目されている理由はどこにあるのか。筆者は、特定非営利活動法人ポロクルに質問表を送った。以下は、その回答をまとめたものだ。

<設問>
ポロクルはどんな点がユニークなのか?

<回答>
大きく3点ある。1つ目は、民間発の構想から始まった取り組みであること。

2008年より、総合建設コンサルタントの株式会社ドーコンが中心となり、東京大学、北海道大学が加わる研究グループで社会実験を進めたのが、ポロクルの始まりだ。

他の都市では行政が主導して大手企業が関わる事例が多い中、ポロクルは「草の根的な活動」である。

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