「三つ折りスマホ」ファーウェイに続きサムスンも投入 "折りたたみ競争"で際立つアップルの遅れ

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ところが「iPhone 17」シリーズと同時に発売した、厚さ5.64mmの超薄型スマートフォン「iPhone Air」の販売が不調で、一部では失敗作とまで言われてしまっている。「iPhone Air」は持っていることを忘れてしまうほど軽く、持っていることを意識せず毎日使うことができる。また必要最小限のカメラを搭載するなど、モノや情報にあふれた現代社会とは一線を画す引き算のコンセプトの製品だ。アップルとしては従来のiPhoneシリーズとは異なる価値観を持った製品を送り出すことで、新たなユーザー層を開拓したかったに違いない。

iPhone 17が好調なアップル、薄型失敗を折りたたみで挽回か

この「iPhone Air」は後継機の登場もどうなるかわからないと噂されており、1世代で廃止されてしまう可能性がある。そうなればアップルとしてはいよいよ折りたたみスマートフォンを出す必要性に迫られるだろう。だが折りたたみiPhoneの噂話はここ最近現れては消え、また現われている。これはサムスン電子や中国メーカーの折りたたみスマートフォンに対するイノベーションが想定よりも急速に進んでおり、アップルとしても製品を出すタイミングが遅れてしまっているからかもしれない。

iPhone Air
好調な中国市場でも販売不調と言われる「iPhone Air」(筆者撮影)

一例として、この9月に発売された「iPhone 17 Pro Max」は本体素材や内部機構の変更などにより、前モデルより重量が増して233gとなった。本体の厚みは8.75mmだ。一方サムスン電子が7月に発表した2つ折りのスマートフォン「Galaxy Z Fold7」は重量215g、厚さ8.9mmである。カメラ性能などが異なるため単純な比較はできないものの、もはや「折りたたみスマートフォンは厚くて重い」存在ではなくなったのだ。ちなみにグーグルの「Pixel 10 Pro Fold」は258g、10.8mm。グーグルですらサムスン電子などに折りたたみスマートフォンの開発技術は後れを取っている。

アップルは2024年6月にiPhone向けの独自生成AI「Apple Intelligence」を発表した。しかしAIの開発競争ではグーグルなどに大きく出遅れてしまい、そのギャップを埋めるためにChatGPTやGoogle Geminiなどの外部モデルの統合を進めていると報道されている。決算上は好調なアップルだが、AIの出遅れと薄型スマートフォンの失速が来年以降の事業に影響を与えるかもしれない。この流れを断ち切るにはAI時代にふさわしい“象徴的プロダクト”として折りたたみiPhoneを来年のラインアップに加えるべきかもしれない。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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