患者の家族が急死、初めての出産、排泄で失敗…こんなときの「いいケア」とは? 医師や看護師と本気の対話を重ねてたどり着いた"本質"
(1)問題意識の確認と目線合わせ
対話のはじめに、本質観取をしたい事柄や概念の本質が分かると、いったいどんな意義があるんだろう、何のために自分たちはこの概念の本質観取をするんだろう、ということを、参加者どうしで対話し、目線合わせする時間を設けます。
この時間が十分にないと、自分たちが何のために本質観取をやっているのか、よく分からなくなってしまうことがあります。本質観取なんてただの言葉遊びじゃないかと言われることがたまにあるのですが、それは、この問題意識の確認や共有がちゃんとされていないから起こってしまうことではないかと思います。
また、「本質」というのは絶対に正しい真理のことではありません。「『本質』は、決して〝どこかにあらかじめ存在しているイデアのようなもの」ではなく、「それを問うがわの関心や観点に従って現れてくる『関心(観点)相関的なもの』」なのです。
そしてだからこそ、「ある問題意識から私たちの経験を眺め考察するとき、『どんな人にも共通なこと』かつ『こうとしかいえないこと』を取り出すことができる」のです(『哲学的思考』2005年、408頁)。


















