「とりあえず資料作って」は禁句。逆に部下の生産性を10倍にするフレーズとは?
私がまだ若手の頃、ある研修で覚えさせられたフレーズがあります。
「中身は何だよ何のため、出来栄えなんぼで何日で」
リズムに乗せて呪文を唱えるような、いかにも昭和の香りがする言葉です。当時は「なんて古臭いんだ」「恥ずかしい」と敬遠していましたが、AI時代になった今、この言葉に含まれる「要素」を見直すと、重要な示唆が含まれていることに気づきます。
この標語は5つの要素(中身、目的、品質、コスト、納期)で構成されています。このうち、後半の「出来栄え(品質)」「なんぼで(コスト)」「何日で(納期)」はAIを使った仕事においては、そこまで重要な要素ではなくなっています。
AIに指示すれば極めて低コストかつ短納期で成果物が作られ、品質の調整も対話ですぐに修正できるからです。
よって、変えることのできない根幹である「中身は何だよ(内容)」「何のため(目的)」の2要素の定義こそが、AI時代におけるマネジメントの生命線となります。
「何のため」がない仕事は、AIによって増殖する
なぜ、この2点が重要なのでしょうか。それは、AIが「手段」を爆発的なスピードで実行してしまうからです。
もし上司が「何のため(目的)」を伝えずに「競合調査をして」と指示したとします。AIは、ネット上の一般的な情報を継ぎ接ぎして、「なんとなく正しそうな、しかし自社の課題解決には全く役に立たない調査レポート」を数秒で出力します。
結果として、上司は「なんか違うんだよな」と突き返し、部下はまたAIで別の「なんか違う資料」を量産する。高速でゴミを生産し続けるだけの、不毛なサイクルが生まれます。
これを防ぐには、上司が最初にこの2点を明確に定義するしかありません。
何のため(目的):「新規事業の撤退ラインを決めるために」
ここまで言語化されて初めて、AIは優秀なアシスタントとして機能します。「今後の役員報告の資料をまとめておいて」といった指示では、部下もAIも良い仕事はできないのです。



















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