「初めて本当の暗闇を味わった」新宿育ちの青年が、能登の被災地で感じたこととは? 地方での体験が都市生活のヒントになる

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高橋:もちろん目的は被災地の支援なので、現地の人にとって助けになることが大事なのですが、能登での経験は都会育ちの彼にとっても大きな意味がありました。彼は「自分が暮らしてきた新宿での生活を、これからはもっとよくできる」と言って帰っていきました。

都市は便利ですが過密で、ストレスフルな生活を送っている人も多いと思います。

無縁社会といわれるぐらい、人間関係はプライベートに至るまで損得で満たされている。それが決して当たり前ではないということを、地方との行き来で感じることができるはず。

どっちがいいとか悪いとかじゃなくて、田舎のギトギト粘着質な関わりにも飛び込んでみてほしい(笑)。新しい視座を得ることで、今いる都会の環境をもっとよくするヒントが見えると思うんです。

「社会的にいいこと」がお金にならないのはおかしい

窪田:みんながみんな同じ守られ方をして、考えることをやめてしまえば、イノベーションも起きなくなると危惧しています。新たな価値を開拓する熱意や意欲のある人は、違った生き方のオプションがある社会になるといいですね。

私も高橋さんも、別の専門から事業の道に入ったという共通点があります。私は元が医師なので限界もあり、ビジネスに疎いことはご容赦いただきたいといつも願っているのですが(笑)。

高橋:私も一緒です(笑)。ビジネスが得意な人に任せている部分も多いです。

窪田:私の会社は莫大な利益を生むものではありませんが、子どもの近視という課題に向き合い、社会に必要とされているから存在させてもらっていると考えています。高橋さんの会社もNPOとして創業されましたが、現在の事業についてどのようにお考えですか?

高橋:いいことってなかなかお金になりませんよね。でもそれが社会に求められているなら、ボロ儲けまではいかなくても経済的に成り立たないのは、僕はやっぱりおかしいと思います。

経済性と社会性の両立をうたうと綺麗事だと言われがちですが、安定した社会こそが経済活動の土台です。世界的にみても、企業が短期的な利益を追求するあまりに社会の安定性を損ねた歴史があり、その反省からESGやSDGsが叫ばれるようになったわけですから。

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