カフカスの仕組みが興味深いのは「家裁とは独立した子ども側の立場」という部分ですが、実は日本にも「子どもの手続代理人」という仕組みがあります。しかし、この仕組みはカフカスのような組織的なものではなく、当事者が費用を負担するなどの問題もあるため、ほとんど利用されていません。
一方、イングランドでは、マンガで紹介したFJYPB(家庭司法若者委員会・子どもと若者のメンバーはSNS募集や関係者からの紹介で構成)に加え、家裁で不快な経験をした子どもたちが直接意見をフィードバックできる機会も提供されており、それらの声も子どもたちの環境改善につながっています。家裁の制度改善への姿勢がどこまでも本気で驚きました。
ひとりひとりのニーズ、特性、希望に合わせてサポート
さらに、FJYPBのメンバーの子どもと若者たちは、それぞれが価値ある貢献ができるユニークな個人として認められ、支援を受けています。メンバーやフィードバック意見をくれる子どもたちは、それぞれにトラウマや特性を抱えていることもありますが、常に尊重されることを目指しているのだとか。また、メンバーはそれぞれに得意なコミュニケーション方法があるため、発達支援ワーカーのローレンさんは、メンバーひとりひとりのニーズ、特性、そして希望に合わせてサポートをしているそうです。
また、イングランドの家族法自体も改正されました。2021年には、子ども本人が被害を受けなくても、面前でDVを見たり聞いたりしたことも「被害」として扱われ、判決などの判断材料にされることになったのです。これも子どもを守る改善のひとつでしょう。
日本では2004年の児童虐待防止法改正で家庭での面前DVは子どもへの「心理的虐待」として明記され、さらに2019年の改訂では子ども虐待対応とDV対応の連携を強化することが明文化されました。日本のDVと児童虐待については内閣府のサイト「DVと児童虐待」の説明がわかりやすいです。家庭内の問題に対して、世界各国が悩みながら地道な法改正を続けているのです。
日本の大きな変化としては、来年4月から離婚後の選択的共同親権が施行される予定です。ただし、単独親権であろうが共同親権であろうが、子どもの人権と安全を守り、ケアが大事ということに変わりはありません。イングランドの仕組みは、日本の参考になる部分もあるのでないでしょうか。
次回は、離婚後の共同養育について紹介します。
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