スキーブーム終焉でも潰れなかった老舗が見つけた「強みの掛け算」
コアコンピタンスとは、もっと強固なものであるべきだと、私は考えています。
他社に追い上げられたり、市場環境が多少変化したりしても揺るがない存在である必要があります。
私にとって、コアコンピタンス(核となる能力)を定義する作業は、さまざまな強みをどんどん削って細分化する作業でした。
単体の技術で「オンリーワン」になることは難しい
シナノの強みは、やはり技術力です。
長年にわたってスキーポールを手掛けてきた結果、細い棒状のものを製造・加工する技術については、どんな企業にも負けない水準に達していると自負しています。
これらの技術をさらに細かく言うと、「アルマイト加工技術」「パイプ曲面印刷」「握る設計」の3要素に分解できます。
まずアルマイト加工技術についてお話ししましょう。
アルマイトとはアルミニウムを酸化させて表面に膜を作り、腐食や摩耗をしにくくする加工のことです。シナノのスキーポールやトレッキングポールなどのアルミニウム製品には、アルマイト加工が施されています。
そのため、雪や雨で濡れても錆びにくくなっていますし、硬いものにぶつけても傷つきにくいのです。
続いてパイプ曲面印刷ですが、これは紙など平面で形作られたものに印刷するより、かなり難易度が高いです。
曲面に付着したインクは流れやすいですし、複数の版を重ねて印刷する場合、位置がずれてしまう危険性も高いのです。しかしシナノでは、ポールへの印刷経験が豊富なので難しい曲面印刷にも対応できます。


















