スキーブーム終焉でも潰れなかった老舗が見つけた「強みの掛け算」
コアコンピタンスが重要である理由は、大きく2つあります。
1つ目の理由は、社外に対するものです。競合に負けない唯一無二の強みを持っていれば︑顧客に自社の商品やサービスを選んでいただける確率は高まります。その結果、価格競争に巻き込まれる危険性は減りますし、売り上げや利益も向上が見込めます。
2つ目は社内に対するものです。明確なコアコンピタンスがあれば︑従業員は自らの判断で行動しやすくなります。その結果、組織のスタイルは「ボトムアップ型」に変わり、従業員の自発性や自律性を生かしやすくなります。
社長になりコアコンピタンスを言語化する必要性を実感
私は社長になり、「自社にとってのコアコンピタンスが何なのか」を言語化する必要があると感じました。
なぜなら、父は感覚的に理解してトップダウン型で経営していましたが、私は従業員の一人ひとりが理解をして行動を起こしてくれるボトムアップ型を目指していたからです。
今では、その核さえ見つければ︑企業は事業の形を変えながら︑いくらでも未来を切り拓くことができるとすら確信しています。
私は最初から、コアコンピタンスに関する設計図を持っていたわけではありません。
日々の仕事を通じてその重要性に気付き、企業経営に生かしてみようと考えたというのが本当のところです。
最初にコアコンピタンスを意識し始めたのは、シナノに入社した直後の経験からでした。


















