スキーブーム終焉でも潰れなかった老舗が見つけた「強みの掛け算」

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要するに、その人の立場や視点によって、認識はバラバラだったのです。お恥ずかしい話ですが、それが当時のシナノの現状でした。皆さんもぜひ従業員に「自社の強み」を聞いてみてください。

このように、自社のコアコンピタンスが従業員によって異なっているのは、企業にとって望ましい状況ではありません。

そのままでは、「自社の強みを生かし、一丸となって頑張ろう」と号令をかけても、皆が異なる方向に突っ走ってしまうからです。

そこで私は、統一したコアコンピタンスとは何か見定め、全従業員に浸透させることが大切だと感じました。

そうやって全従業員のベクトルを揃えれば、より大きな力を発揮できるはずだからです。

自社の強みを掛け合わせて「 揺るがない強み」を作る

さて、多くのお客さまから挙げられた「信頼」という要素は、シナノのコアコンピタンスになり得るでしょうか。

答えはノーです。

信頼というものは、企業において非常に貴重な財産です。しかし、品質問題やコンプライアンス違反などのトラブルが起こると、信頼関係は一瞬にして崩れ去る危険があります。

それに、信頼というものは唯一無二ではありません。他社でも構築可能なものですから、コアコンピタンスにはなり得ないのです。

では、多くの従業員が挙げていた「国内シェアナンバーワン」は、コアコンピタンスと呼べるでしょうか。

残念ながら、こちらもノーです。仮に、他社が大幅値下げなどを行ったら、シェアを逆転される可能性はそれなりにあります。そんな表面的、一時的な現象を、とてもコアコンピタンスとは呼べないでしょう。

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