悪化して空気の漏れが増えると、肺の外に溜まった空気が心臓を圧迫し、心機能の低下を引き起こす「緊張性気胸」という状態になる。また、両方の肺に気胸を起こす人も10%程度いて、さらに肺のしぼみが強い場合は呼吸ができず窒息と同じ状態になってしまう。
「だからこそ、軽症のうちに発見、治療することが大事」と坪島医師は言う。
自然気胸の治療は“段階的”
では、「もしかして気胸かも……」と思ったらどうしたらいいか。
気胸の息苦しさには個人差があり、人によっては、突然の片側の胸の痛みや強い息苦しさで歩けなくなり、救急車で受診するケースもある。
そこまで症状が重くない場合は、まずはかかりつけの内科や呼吸器内科を受診したい。そこで胸部X線検査や必要に応じてCT検査などを行い、肺がどの程度しぼんでいるかを確認する。
気胸が疑われれば、必要に応じて呼吸器外科や「気胸センター」のある病院へ紹介されるという。
自然気胸の治療はどのように行われるのだろうか。坪島医師によると、程度によって治療にはいくつかの段階があるという。
軽症で自然に回復が見込める場合は、安静によって経過を観察する方針が選ばれることが多い。空気漏れが続く中等度以上では「胸腔ドレナージ」が必要になる。これは胸からチューブ状の細い管を差し込み、胸腔に漏れた空気を抜く治療だ。空気漏れが少ない場合は、回復するまで、体に小型のドレナージキットを取り付けながら、日常生活を送ることになる。
ただし、これでは気胸の根本原因であるブラを取り除いたわけではないので、再発のおそれは残る。そこで、状況によっては手術が選択される。
現在、手術の主流は胸腔鏡という小型カメラを用いた内視鏡手術だ。
手術でブラを切除して縫合する。施設によってはその周辺に吸収性のあるポリグリコール酸のシートで補強する治療も進んでいる。シートで補強した部分にはブラはできても破けにくくなる。
手術を行わなかった場合、25歳以下では約50%が再発するとされているが、手術をすれば10%以下にまで下げることができるそうだ。



















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