〈ファリード・ザカリア氏〉「世界に背を向け、内向きであり続けるアメリカ――。26年以降、それがますます大きなリスクになるだろう」
――著書『革命の時代』を通して、読者に届けたいメッセージは?
過去から現在までに起きた革命を調べた結果、大変革には反動が伴う、という歴史的パターンがあることがわかった。
ブレグジット(イギリスの欧州連合〈EU〉離脱)や欧州の過激な政党の台頭、そして、トランプ――。こうした目まぐるしい政治的変遷は、テクノロジーや経済、文化における驚異的な変化への、人々の「反発」によるものだ。
例えば、17世紀もそうだった。技術革新や経済の大変化に伴い文化も変わり、政治的・文化的反動、いわゆる抵抗が起こった。
ひるがえって、私たちは過去30~40年間、グローバル化の急速な普及や情報革命と情報経済の台頭、文化的変化、女性の地位向上、マイノリティーや移民の増加を経験してきた。つまり、未曽有の「革命的な時代」だ。
その結果、世界中で、政治的・文化的反発が起こっている。私たちは歴史のパターンを理解する必要がある。「反動の時代」をいかにうまく乗り切るか? それを知るためだ。
新たな大分断
――その反動が分断に拍車をかけています。「オープン(開放)」と「クローズド(閉鎖)」という、新たな文化的対立です。
従来の分断は主に経済をめぐる左右の対立で、実に単純だった。左派は税金や再分配の増額、規制強化を望み、右派はその逆だ。
だが、ここ30年で文化やアイデンティティーへの意識が高まり、構図が変わった。自由貿易や移民、オープンテクノロジー、多文化主義をめぐる、開放派と閉鎖派の対立だ。この新たな大分断が従来の政治を根底から覆した。
民主党支持者は開放派で、共和党支持者は閉鎖派だ。かつて低所得層が支持した民主党は今やお金持ちの人々から支持される党になり、共和党はその逆だからだ。共和党を支持する労働者層は、移民も自由貿易も望んでいない。




















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