39℃の高熱なのにクリニックで検査をすると「インフル陰性」。このときに考えられる問題と対処法とは?【医師が解説】

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世界保健機関(WHO)は、薬剤耐性(AMR)の拡大を、将来の医療を脅かす重大な問題として警告しています。

「高熱だから抗菌薬を出しておけば安心」という考え方は、長い目で見れば、自分や家族を苦しめることにもなりかねません。2025年は上半期だけで赤ちゃんが4人、百日咳で死亡しましたが、このうち2人は耐性菌によるものでした。

医師は、症状の経過、身体所見、血液検査やレントゲンなどを総合して、「これは本当に抗菌薬が必要な細菌感染なのか」「どの薬が最も適切か」といったことを慎重に見極める必要があります。

風邪症状の人に対して、あまり深く考えず抗菌薬を処方する医師は、少なくありません。残念ながら、感染症の診療についての能力が不足していると言わざるをえません。

こんなときは我慢せず受診を

混雑する季節には、「この程度ならもう少し様子を見よう」と受診をためらう方も多いと思います。それでも、次のような場合には、早めの受診をおすすめします。

・38〜39℃以上の発熱が3〜5日以上続く
・解熱剤で一時的に下がっても、すぐに高熱がぶり返す
・強い咳、息切れ、胸の痛みが出てきた
・水分が十分に摂れない、尿の回数が極端に少ない(尿の色が濃い)
・食事がほとんど摂れない
・意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しづらい

その際、胸部レントゲンや血液検査(白血球数や炎症反応など)を行える医療機関を受診すると、肺炎の有無を判断しやすくなります。

高熱が続くと、不安から「別の病院なら何か見つけてくれるのでは」と、医療機関を転々としてしまう方がいます。しかし、受診する際は、できれば前回と同じ医師に診てもらうことをおすすめします(あるいは、同じ医療機関で診てもらうこと)。

前回の診察内容を知っている医師なら、熱・咳や息苦しさの程度がどのくらい変わったか、胸の音が前回と変化していないか、血液検査の値がどう推移しているかといった「症状の変化」を踏まえて判断できます。

医学的には、この経過を見る力が診断の精度を大きく左右します。

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