39℃の高熱なのにクリニックで検査をすると「インフル陰性」。このときに考えられる問題と対処法とは?【医師が解説】
しかし、最近はマクロライド系が効きにくい「耐性マイコプラズマ肺炎」も増えており、「とりあえず肺炎予防に抗菌薬を処方」という古いやり方は通用しないどころか、耐性菌を増やすことになり有害です。
2.肺炎球菌性肺炎
インフルエンザに合併しやすい細菌性肺炎の代表が、肺炎球菌による肺炎です。
急速に進行し、菌血症(血液中に細菌が侵入し、全身の臓器を侵す)を起こしやすいです。適切な抗菌薬治療を速やかに開始しなければ、数日で死亡することがあります。
症状は突然の高熱と悪寒戦慄、痰を伴う強い咳、胸の痛み、息苦しさから始まることが多いです。ペニシリン系やセフェム系といった、一般的に使われる抗菌薬がよく効きますが、やはり耐性菌の問題はつきまといます。
65歳以上の方はとくに発症のリスクが高いため、65歳になったときに肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)の定期接種(自己負担あり)が勧められています。5年おきに追加接種が必要となります。
朗報としては、今年からキャップバックス(PCV21:21価肺炎球菌結合型ワクチン)という新しいタイプのワクチンが使えるようになったことでしょうか。より多くの血清型(肺炎球菌は90種類以上ある)をカバーしています。
今の時期、インフルエンザや新型コロナに続発した肺炎で入院するリスクを減らすうえで、ワクチンは重要な備えの1つです。今年の年末年始は医療機関が9連休となるため、できる限りの予防策をとって自衛しましょう。
3.クラミジア肺炎
クラミジア肺炎は、肺炎クラミジアという細菌による肺炎です。性感染症のクラミジアとは種類が違い、普通の生活の中で飛沫感染します。乾いた咳が長く続く、高齢者や持病のある人では重症化することもある、といった点が特徴で、市中で起こる肺炎の1割を占めています。
診断が難しく、マイコプラズマ肺炎と同じく、特殊な抗菌薬が必要になるタイプの肺炎です。
「何でもかんでも抗菌薬」はダメ
高熱が続くと、患者さんとしては「とにかく何か強い薬を出してほしい」と思うのは自然なことです。
しかし、ウイルス感染が原因の発熱に、細菌に効く抗菌薬を使っても効果はありませんし、不必要な抗菌薬は耐性菌(薬が効かない菌)を増やす原因となります。



















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