名物料理「タワマンステーキ」のある街で聞いた"旧住民の本音"・・・ビジネス街に残る「港湾労働と石炭」の痕跡

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鈴木さんは窓から右手を差し出し、同じビルの1階に入っているチェーンの蕎麦屋「小諸そば芝浦店」を指さして続ける。

「昔はここで“バラエティショップムトウ”というわりと大きな金物や雑貨の店を商っていた。戦後間もなく、父が創業した店です。でも、今じゃこっちに引っ込んでハンコと合カギの店を、ビルの管理人と兼業でやってます。とは言え、店のほうはほとんどヒマで、仕事の中心は管理人業ですね」(鈴木さん)

そう苦笑いする鈴木さん。聞けば歳は70を超えているとのこと。ゆうゆうと年金暮らしの年齢だ。浮き沈みの多い人生だったのだろうと話を聞いていたのだが──。

鈴木さんは店舗兼管理人室から出てきて、7階建てのビルを見上げた。

「1991年にこれを建ててからもしばらく金物店は続けたんですよ。でも、時代の流れとともにやっていけなくなりましてねぇ。それでも、なんにもしてないと身体がなまるでしょ、だから今でもこうして働いてるんですよ」(鈴木さん)

──つまり、ビルのオーナーということ?

「そうですよ。この土地で生まれてこの土地で育ちました。ここらへんは商店会の活動が盛んで、毎年7月の“芝浦まつり”では2年に1度、各町内会が神輿を出して盛り上がります。今年は“うら”ですが、来年は本祭なので神輿が出る。毎年多くのお客さんでにぎわいますよ」(鈴木さん)

そんな話を聞いたあと、鈴木さんに「商店会のことなら、会長に聞くといいよ」と、紹介してくれた店を訪ねた。

田町
オーナーの鈴木豊さん(筆者撮影)

魚がおいしい「諸国地酒銘酒処 芝の浦」

鈴木さんの店から歩いて数分の場所にある居酒屋「諸国地酒銘酒処 芝の浦(港区芝浦3-14-4)」のご主人である大野岳史さんは「芝浦商店会」の会長だ。

午後5時の開店と同時におじゃまして、刺し身の盛り合わせと、串焼きの盛り合わせを注文した。私は下戸なので、飲み物はいつものように烏龍茶だ。刺し身は新鮮でつまんだ箸先を押し返してくるようだ。つまには大葉の細切りが混ぜ込んであるなど、細かい仕事も嬉しい。焼き鳥はどれも大ぶりで、食べ応えがある。

タイミングを見て声を掛けると、店主の大野さんは快く話を聞かせてくれた。

田町 芝の浦 芝浦商店会
「芝の浦」の店主で「芝浦商店会」会長の大野岳史さん(筆者撮影)
田町 芝の浦
「芝の浦」刺し身の盛り合わせ(1人分1100円)(筆者撮影)
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