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ライフ #タワマンだけじゃない街

名物料理「タワマンステーキ」のある街で聞いた"旧住民の本音"・・・ビジネス街に残る「港湾労働と石炭」の痕跡

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「belts 三田」を出て、田町駅方向に戻る。慶応仲通り商店街を来たときとは逆向きに歩いた。幅の広い道沿いには高層ビルが壁のように建ち並び、その影に隠れるように一段低い建物が密集する。商店街はこれらを縫うようにして伸びているので、渓谷の底を歩いているような気分になる。

ところが、JR田町駅を越えると、また違った風景に出会う。駅から東に伸びる「なぎさ通り」に沿って連なる店たちは「芝浦商店会」としてまとまっている。こちら側もタワマンが林立することに変わりないのだが、埋め立て地なだけあって、それぞれの道幅が広い。そのぶん景色に開放感がある。

自分史上最小の店を発見!

どちらがいいとか悪いとか言っているのではない。駅を隔てて少し歩くだけで、まったく趣の違う商店街を楽しむことができるのだ。

慶応仲通り商店街。慶応大学側の入り口(筆者撮影)
芝浦商店会のあるなぎさ通り(筆者撮影)

なぎさ通りに沿ってある7階建てのビルの1階に、自分史上最小の店を発見した。階段の脇、管理人室のような場所に「合カギ はんこ ムトウ」の看板が出ている。開閉式の庇(ひさし)が、通りに張り出すようにかかっており、その下にネーム印の回転式のラックが置かれている。店舗自体はたぶん一坪以下の物件だ。あまりに小さな店なので、思わず足が止まった。窓から中を覗くと、青い作業着を身につけた店主の鈴木豊さんと目が合った。

「合カギ はんこ ムトウ(港区芝浦3-11-9)」(筆者撮影)

「タワマンだけじゃない街ねぇ、たしかにここらへんはタワマンが増えていますね」

鈴木さんは小窓から顔を出して話を聞かせてくれた。

「私は生まれも育ちもここ芝浦です。私が若い頃は工場や倉庫が立ち並ぶ場所で、港湾労働者の人たちがたくさんいた。運河の脇には船が運んできた石炭の山があった。1丁目のほうには花街もあったらしいですね。そんな人たちを相手にした洋品店とか食堂、酒場が並んでいた。ここ20年ほどはビルが増えて、街の様子もかなり変わりましたね」(鈴木さん)

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【街のハンコ屋はどうやって生活しているのか】

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