"前向きに老いる"ための工夫が満載…83歳の保健学博士が日々実践する【ボケない暮らし】の秘密
1人暮らしだと食材が余りがちなので、作り置きもよくします。作り置きしたお惣菜を少しずつアレンジして食べるのも、楽しみの1つです。どう組み合わせれば飽きずにおいしく食べられるか――そんなことを考えるのも、ちょっとした頭の体操になります。
高齢になると、食が細くなったり、料理をめんどうに感じたりすることもあるかもしれません。でも、料理は脳トレだと思って、ぜひ続けてみてください。ボケない料理と、ボケない散歩。この2つを組み合わせれば、最強ですよ!
日課は「高速指体操」と「舌回し」
年をとって、素早く体を動かすのが難しくなったと感じます。若い頃なら、物を落としそうになったら素早く反応できたのに、今はそうはいきません。
「素早く体を動かす能力」は「敏しょう性」と呼ばれます。転んだ瞬間に、とっさに手を出して顔から倒れるのを防ぐ、敏しょう性はこんな動きに関わっています。高齢者が転倒によって大きなケガをしやすいのは、敏しょう性の低下によって、防御が間に合わなくなることが一因とされています。
敏しょう性の低下をもたらすのは、筋力の衰えだけではありません。脳の働きの低下が、より深く関係しているとわかっています。
敏しょう性が落ちるのは、脳の中の「運動野」と呼ばれる部分の働きが弱くなってくるから。運動野は、体を動かすときの司令塔の役割を果たす場所で、ここがうまく働かないと、体を素早く動かせなくなったり、とっさのときの反応が鈍くなったりします。
ただ体の動きが鈍くなるだけなら、しかたない……とも、言っていられないのです。敏しょう性は、記憶力や注意力などの認知機能と深く関係していて、反応時間が長くなるほど認知機能も低下している傾向があるという、高齢者を対象とした研究報告があるからです。
そこで私が、筋トレ教室のメニューにも、必ず取り入れるようにしているのが「高速指体操」と「舌回し」です。敏しょう性を保つために、私自身も毎日欠かさず行っているトレーニングです。
●指を速く動かすと脳が目を覚ます「高速指体操」
まずは「高速指体操」です。これは、指をできるだけ速く動かすことで、脳に刺激を与える運動です。指先は神経が集中している場所で、ここを意識して動かすことで脳の運動野が活性化されます。



















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