「おやじに会ってきたよ」「どこのおやじ?」 女優・浜木綿子(90歳)が、息子・香川照之から《元夫・市川猿翁との再会》を知らされた日の衝撃
「そうしたら今度は、『裏方はしんどいので役者になる』と言い出したので、石井先生は『あらぁ、失敗しちゃった』。がっかりしました。一度は反対したものの、彼の意思強固さ、言い出したら聞かない、絶対に曲げない性格は知っていました。考え抜いて決めた道だろうから、自分で責任を持てばいいんだと最終的には諦めました」
一方の照之こと市川中車は「大学卒業時点で、やりたいことがなかったので、俳優になろうと考えました。蛙の子は蛙と、今となっては思います。ADも俳優になるなら勉強しておいた方がいいという母の意見に、したがったまででした」と当時の思いを語ってくれた。
1989年1月の読売新聞の連載企画「後継者」に浜と照之の対談が掲載されている。
「猛反対にも耳を貸さず、自分を曲げなかった性格を見ると、父親によく似ていると思った。結局、この道に進んだところに、私は、役者としての血を感じるわ」と語る浜に対し、照之は「血といわれると、そうかなと思う。もう一ついえば、『芸能人の子供』というレッテルがついて回るのなら、同じ畑で勝負してやれ、と思ったのも確かなんだ。逃げたくないというか……。見られる存在として思いっきりやってやろうと」と応じている。
「おやじに会ってきたよ」「どこのおやじ?」
照之は1989年のNHK大河ドラマ「春日局」(橋田寿賀子脚本)で小早川秀秋を演じた。
収録が始まり、自宅に置かれたドラマの台本に目が留まった浜はつい親心を働かせた。
「参考になればと思い、小早川秀秋の台詞を読んでテープに吹き込みました」
帰宅してテープを目にした照之は、「これは何?」と尋ねた。
「『参考になったらと思って、私があなたの役の台詞を吹き込んでみたんだけれど』と言ったら、『ありがとう。でも演出家がいるからいいよ』と一度も聞かずに返されました。考えてみたらもっともですよね」



















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