港区と千代田区が同率1位!では、3位以下は…? 東京で《会社・団体役員》の比率が高い区を調べてみた

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さて、地図に戻ると、東京周辺で役員が最も集中しているのが、山手線の南半分に広がる山の手エリアです。東京都の町・字別データによると、一番町~六番町(千代田区)、愛宕・六本木(港区)、松濤(渋谷区)などをはじめ、働く男性住民の30%前後が役員という地域も散見されます。

17世紀以降、この地域には江戸城を取り囲むような形で大名屋敷や旗本屋敷、組屋敷が配置されました。明治期に入るとこれらの屋敷は接収・再編され、軍関係の施設に転換したり、華族・官僚・財閥関係者に払い下げられたりして、名家や企業の重役、外交官などが住む邸宅街へと変容していきました。

また、渋谷区の代官山周辺のように、明治時代に入ってから政治家や実業家が自宅、別荘を構えた地域もあります。

一方で、都心の東側、特に勝どきや月島、豊洲といった湾岸エリアにも多くの役員が居住しています。

これらの地域では戦後、工場・倉庫、そして港湾関係の施設が数多く稼働していましたが、1990年代以降に再開発が進み、今ではタワーマンションが林立しています。都心隣接の利便性や充実した都市機能に加え、建物自体の存在感と豪華絢爛な共用部、そして都心を見渡す眺望などから投資対象としても注目を集め、新しい世代の経営層やパワーカップルを惹きつけています。図3は、国土交通省のオープンデータをもとに、都心周辺の「タワーマンション」の分布を描いた地図※1です。

(画像:『データでわかる東京格差』より)

カワセミと富裕層が愛する近郊のオアシス

近郊では、東京23区の南西側、具体的には目黒区と世田谷区南部(東急線沿線と成城学園前)に役員が密集しています。

これらの地域は武蔵野台地の段丘面※2にあたり、明治時代までは田畑と雑木林が混在する近郊農村地帯でしたが、大正以降、特に関東大震災の前後から宅地化が進みました。

現在の桜新町駅(当時の玉川電気鉄道・新町駅)の南側には関東で最初の高級分譲住宅地といわれる新町住宅地がつくられましたし、成城では私立・成城学園の移転・建設費用をまかなうために郊外型の高級住宅地が開業。また、田園調布、洗足では実業家の渋沢栄一が中心となって設立された田園都市株式会社(東急グループのルーツの一つにあたる会社)が、都心勤務のビジネスパーソンをターゲットに宅地分譲を進めるなど、あちこちで現在のニュータウンの原型ともいえる街づくりが進められました。

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