「またBL作品か…」「思ってた手越祐也と違う」 ドラマ『ぼくたちん家』を「ただのBLドラマ」と敬遠する人は"損をしている"理由

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最後に、冒頭で紹介した「思ってた手越と違った」という意見について思うことを付記しておきたい。本作は、手越祐也の7年ぶりの俳優としての復帰作であるが、バラエティ番組への復帰は、24年にかつてレギュラーだった『世界の果てまでイッテQ!』への出演だった。

手越の出演回は、世帯視聴率は13.5%と、同番組のその年最高の数字を叩き出した。TVerにおいては配信開始8日間で再生数421万回を突破して、なんとバラエティ番組の歴代最高記録を更新している。

手越のパブリックイメージは「ポジティブ」「陽キャ」「王子様」といったものだろうが、『イッテQ』ではそんな手越のキャラクターが存分に発揮されている。この数字を見るに、それを欲している視聴者は多かったということだろう。

だからこそ『ぼくたちん家』では役とはいえ、生まれたときから両親がおらず施設育ちであるという設定で、クールかつ内向的とも言える姿に「思ってた手越と違った」という感想が出てしまったのかもしれない。

ぼくたちん家
役作りのため、トレードマークの金髪を暗く染めた手越祐也(画像:日本テレビ『ぼくたちん家』公式サイトより)

今作は手越祐也の「原点回帰」

だが、実は手越は、デビュー直後には、暗い青年のような役が多く、それがハマっていた。

その筆頭が、初主演映画『疾走』(05年)で、手越は兄が放火事件を起こし、両親も失踪するというかなり重い境遇を背負った少年を演じている。

これは、SABU監督がNEWS結成直後の手越をコンサートで見て、そのどこか漂う暗い雰囲気に着目し、主人公にキャスティングしたものであり、難役を当時10代の手越が見事に演じきっていた。

『ぼくたちん家』における作田は、いろいろと“経て”きた手越が戻ってきた、原点回帰とも言える役柄なのである。

そして“王子様性”を封印しているのは、及川光博も同様だ。2人の王子様が、そのキャラクターを封印して挑んでいるという“粋さ”に世間が気づき始めたとき、『ぼくたちん家』の評価はより高まっているかもしれない。

霜田 明寛 ライター/「チェリー」編集長

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しもだ あきひろ / Akihiro Shimoda

1985年・東京都生まれ。早稲田大学商学部在学中に執筆活動をはじめ、2009年発売の『テレビ局就活の極意 パンチラ見せれば通るわよっ!?』を皮切りに、3冊の就活・キャリア関連の本を執筆。企業講演・大学での就活生向けセミナー等にも多く登壇し、自身の運営する就活セミナーからも累計100名以上のアナウンサーを輩出している。また、編集長を務める『文化系WEBマガジン・チェリー』や雑誌などで記事を執筆。映画監督や俳優を多く取材し、トークイベントの司会なども担当する。自身の観点でドラマ・映画等を紹介するVoicy『シモダフルデイズ』は累計200万回再生を越える人気コンテンツに。ジャニーズタレントの仕事術をまとめた4作目の著書『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は3万部を突破している。
Xアカウント:@akismd

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