しかし、役員会議でこの案はダメ出しをもらったそうで、代わりに出されたのは、映画『地下室のメロディー』のテーマ曲をBGMに、赤いプレリュードが走るシーンを重ねるというもの。つまり、大ヒットした3代目のリバイバルだった。
もちろん映像は新たに作り直されたが、「これが今度のプレリュード」というセリフは同じ。
よく見ると、初代~3代目の歴代プレリュードがチラッと友情出演しているうえに、街角の看板はかつてプレリュードを販売していた店名(VERNO)を連想させる「Verno」となっており、プレリュードとベルノ店が誕生した年の数字も掲げられている。
600万円超の価格に見る本当のターゲット
開発では、ヘリテージ性にとらわれすぎないよう気をつけたとのことで、ターゲットユーザーについては、昔のプレリュードを知るX世代のほか、 若いZ世代も想定したという。しかし、600万円を超える価格は、若者は手を出しにくい。
ホンダでは、購入だけでなくレンタルも用意することで、多様な接点を展開していくとしていたが、価格を含めて考えたとき、メインターゲットはやはり、かつてプレリュードに憧れた世代だと認識し、戦略を見直したのかもしれない。
最近はクルマに限らず、さまざまなプロダクトやサービスで、最初につまずくとその後の挽回が難しい傾向がある。それを考えればインパクトは大きいほうがいいし、メインターゲットが当時を知る世代であることを考えれば、『地下室のメロディー』を再起用したのは正しい選択だと思う。
ただ、スタート地点がかつてのプレリュードとは違うこともあって、新型のフォルムもまた、これまでのプレリュードとは異なる。
エクステリアデザインは、グランドコンセプトでも掲げたグライダーの高揚感をイメージしたもの。戦闘機っぽくなく、華美でもない、機能の進化を感じさせるフォルムを目指したそうだ。
フロントウインドウを立ち気味として、リアに向けてスムーズに流していくシルエットは、グライダーの機体をイメージ。前後ともウインドウを寝かせるより、勢いが出る造形になるという。



















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