バフェット氏の手紙に込められた強欲CEOへの痛烈な警告、「自分の業績はすべて自分の力による」と思い上がってはならない
ウォーレン・バフェット氏が自らの成功の最大の要因として第一に挙げているもの、それは「運」だ。
バフェット氏は、自分が人生のほとんどをネブラスカ州オマハで過ごし、家族を育み、ビジネスを築いてこられたのは、運が良かったからだと言う。1930年に「白人の米国人男性」として生まれたのもラッキーだった。95歳まで生きているのも幸運だ。「自分は生まれた時点で、とてつもない幸運に恵まれた」と語っている。
実際、彼の幸運ぶりは驚くほどで、今年の感謝祭に合わせて公表した毎年恒例の手紙の中で、バフェット氏は「運」という言葉を、表現を変えて12回も使っている。
バフェット氏はバークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を年末に退任する予定で、今後はこうした手紙が、同氏の主要な対外メッセージ手段となる。後継者のグレッグ・アベル氏に経営のバトンを引き継ぐ中、今後はバークシャーの株主への年次書簡も、アベル氏が執筆することになる。
「幸運の役割」を強調
バフェット氏の投資哲学を一言一句読み込み、バークシャーを時価総額1兆ドル(約154兆円)超の企業に育て上げた秘策を学ぼうとする熱心な信奉者たちにとっては、自らの成功を「運」とする同氏の説明はやや肩透かしかもしれない。なにしろ運は、市場で再現できる要因ではない。
とはいえ、行間を読むなら、バフェット氏が繰り返し「幸運の役割」を強調しているのは重要なメッセージでもある。同氏は「多くの場合、指導者や富裕層は分不相応なほど多くの運を授かっている。そして、多くの受け手は、そのことを認めたがらない」と書いている。バフェット氏を成功に導いた偶然の要素を再現することはできなくとも、「自分の業績はすべて自分の力による」と思い上がらず、誇大な自己評価に陥らないという同氏の姿勢は見習うべきものだ。


















