業務スーパーで買い物する人が知らない「地方で増えまくる」本当の理由
静岡県沼津発祥のマキヤは、古くからの金物店からホームセンターへと発展したチェーンで、家電量販店や食品スーパーなどを経営統合しつつ、現在は主力を大型ディスカウントストアに置いている地場小売だ。2000年代以降は業務スーパーに加盟し、既存店舗との連携でコスパのいい業務スーパー商品を集客力に活用してディスカウントストアを構成している。
またホームセンターのカンセキは、競争激化で本業が長らく低迷していたが、業務スーパーを集客力の補強に活用して生き残ってきた。ただし2022年、大手ホームセンターDCMの傘下に入っている。業務スーパーがなければ、独立性をここまで維持できなかったかもしれない。
ほかにも、非上場のため詳細は不明だが、中食事業から食品スーパーに進出し、業務スーパーのコスパ商品と鮮度に定評ある生鮮売場で1000億企業に急成長した広島県福山市のエブリイは、現在最も勢いのある加盟店かもしれない。また、酒類量販店チェーンを祖業としていたが、業務スーパーに加盟して酒&業務スーパーで生き残りに成功した神奈川県の良知経営(旧パスポート)は、酒販チェーンでは数少ない成長株である。
確認できる範囲でも、業務スーパーに加盟することで停滞する祖業から転換、もしくは併存させ、厳しい環境を勝ち抜いた企業が多く存在する。こうしたしぶとい加盟店群が業務スーパーの成長を支えているのだ。
業務スーパーの成長を支える根幹
業務スーパー加盟店群は、なぜ多くの企業が「敗者復活戦」を勝ち上がることができたのか。これはフランチャイズ本部の神戸物産が卸売業であったこともあり、チェーンの小売店としての店づくりを加盟店の裁量に委ねる柔軟性を持っていたことに尽きる。
フランチャイズチェーンの多くは、店づくりに厳格なフォーマットを定め、その通りに展開することを基本とするが、これは多様な現場環境や変化する状況への対応が遅くなるという欠点がある。その点、業務スーパーは、地域で一定規模まで成長した実績ある小売りチェーンと組み、そのノウハウを存分に生かす方針をとった。加盟店側も祖業や本業で何らかの課題を抱え、自社存続に必死に取り組む企業であるため、背水の陣から繰り出す創意工夫が結果を出すことが多かったのだろう。
業務スーパーは、そのコスパの高い商品開発に注目されることが多いが、成長の根幹をなしているのは、成長する加盟店が店舗網を拡張し続けていることにある。加盟小売業の生き残ろうとする執念を見極め、パートナーシップを組んでその自主性を生かしたフランチャイズを構築したことが、業務スーパーの成長の基盤となっている。
ということは、業務スーパーの今後の発展は、店舗網を構成する加盟店の動向を見れば、その行く末を予測できるということでもある。今後、寡占化がますます進むと言われている小売業界だが、業務スーパー連合軍の活躍に大いに注目したい。
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