業務スーパーで買い物する人が知らない「地方で増えまくる」本当の理由
業務スーパーは、コスパの高いオリジナル商品が注目され、SNSでも話題になることが多いが、自社ブランド商品の開発をメーカーと進めるだけでなく、自社グループ内に製造工場を抱えて内製化を推進している点が他のチェーンとは一線を画している。
同社のウェブサイトによると、取扱アイテム7070のうち、海外50カ国からの直輸入品が1680アイテム、自社グループ工場15社27工場からの供給が390アイテムで、プライベートブランドの売上比率は34%以上に達している。この自社グループによる内製化強化という戦略が、実は日本の食品製造業界の構造を踏まえた合理的なやり方なのである。
技術はあるが営業が苦手な中小メーカーを活用
日本の食品製造業界は、大手のナショナルブランドメーカーだけでなく、全国各地の数多くの中小企業で構成されている。地域の自社ブランドメーカーもあれば、大手製品のOEMメーカーもあり、他国に比べても多様で数も多い。ただ、小売りの寡占化が徐々に進む中で、メーカーの淘汰も進みつつあり、製造技術は高いものの営業面が弱く業績不振に陥っている中小メーカーが各地に散在している。
こうした業界環境を踏まえ、業務スーパーは、技術はあるが営業が苦手で稼働率の低下に苦しむ中小メーカーに自社販売網の発注を回して稼働率100%にし、再建するという方法をとる。自社製品を任せるため資本的には傘下に入れるが、製造技術の維持のため、被買収メーカーの組織は経営者も含めてそのまま温存する。メーカー側にとっても、会社が持続可能になる上に雇用条件も改善するのだから、この関係はWin-Winといえるだろう。
こうした商品内製化の推進が、この会社のビジネスモデルの要だが、これを維持拡張していくには、販売網の維持拡張(グループ工場稼働率に直結)が前提となる。それがフランチャイズ(FC)制なのだが、有名なコンビニのフランチャイズとは異なり、加盟店は地方のさまざまな事情を抱えた小売業という一見特異な選択をしている。しかし、これこそが業務スーパーの成長力の源泉なのだ。今回はこの業務スーパーのパートナーである加盟店企業に注目したいと思う。



















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