甲子園ジェット風船が割れやすくなったワケ 製造業者が変わったことが原因か

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阪神のジェット風船を作っているシャープ産業という会社、阪神ファンなら誰でも知っている、ともいわれる企業である。

同社は高校野球グッズとプロ野球グッズを日本で初めて製造販売した会社だ。同社の創業者である小林勝喜会長は、甲子園グッズを製造販売するために脱サラして起業、2年かけて日本高等学校野球連盟を口説き落とし、1963年に高校野球グッズの製造販売を開始。さらにもう2年かけて阪神球団も口説き落とし、1965年に阪神タイガースグッズの製造販売を開始した。これが日本初のプロ野球グッズであり、当時はメジャーにもプロ野球グッズはなかったらしい。

小林会長はラッキー7に一斉に飛ばすというコンセプトで球団側の合意を取り付け、ジェット風船飛ばしを阪神ファンに定着させた立て役者でもある。

手を放すと勢いよく飛んでいくジェット風船自体は、日本ではかなり以前から製造されていて玩具店などで売られていたらしい。関西在住の広島ファンである実谷巧氏が、禁止になった紙吹雪の代わりに玩具店で売っていたジェット風船を甲子園で飛ばしたことが、野球場でのジェット風船飛ばしのルーツだそうだ。

共同開発のパートナーがタイガーゴムだった

それが徐々に甲子園の広島ファンの間に広がる中で、無秩序な使われ方に心を痛めた小林氏が、一斉に空へ向かって上げることを思いつき、飛びすぎず選手のプレーの邪魔にもならないものをと考えて研究を重ねた、ということを小林氏自身が12年前にベンチャー雑誌のインタビューで語っている。

その共同開発のパートナーがタイガーゴム。関西の阪神グッズショップ経営者によれば、「理由は知らないが、今シーズンはタイガーゴムが取引を切られ、別のメーカーに変わったため、シャープ産業のジェット風船が日本製から中国製に変わった。よく割れるようになったのはそのせいだと聞いている」という。

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