医師が教える「エビデンスのある風邪予防」――"手作り塩水鼻スプレー"で症状緩和、ビタミンCやD、ハチミツ、加湿器、瞑想なども徹底紹介

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加湿器を使用する場合は、カビや細菌の繁殖を防ぐため、定期的な清掃を欠かさないようにしましょう。

■睡眠と水分補給で体調管理を

予防の話で見落とされがちなのが、睡眠と水分補給です。

研究によれば、1晩7時間未満の睡眠しかとらない人は、8時間以上眠る人に比べて風邪を引きやすいことがわかっています。睡眠中の体は免疫細胞を生成しているので、この時間が不足すれば、防御力は低下します。

水分補給も同様に重要です。粘膜を湿った状態に保ち、ウイルスを洗い流す自然なメカニズムをサポートします。

食事で摂るぶんも含めて1日に2L、コップ8杯程度の水分摂取が推奨されます。温かい飲み物は特に効果的です。お茶やスープは水分を供給するだけでなく、蒸気が鼻腔を湿らせる効果もあります。

■インフル・RSのワクチンも忘れずに

風邪に対する万能のワクチンは存在しませんが、毎年のインフルエンザワクチンは忘れずに接種しておきましょう。

インフルエンザワクチンは家庭内での感染拡大を約20%低下させることが研究で示されています。これまでは注射のワクチンでしたが、日本でも昨年から小児には噴霧型のワクチンが導入され、人気になっています。

妊娠中や高齢者の方に向け要注目なのは、RSウイルスワクチンです。

RSウイルスは、乳幼児から高齢者まで感染する呼吸器ウイルスで、特に生後1歳未満の乳児に重い細気管支炎や肺炎を起こすほか、高齢者や基礎疾患のある人では、重症化や入院の原因となることもあります。

最近導入されたRSウイルスワクチンは、高齢者の入院の約80%予防することが研究で報告されています。また、赤ちゃんを守るために妊娠中の接種も勧められています。

なお、料金はかかりますが、ご高齢の方を中心にコロナワクチンも引き続き接種をご検討いただけるとよいでしょう。

地味な日常生活の習慣を大切に

真の風邪予防は地道なものです。

まずは、手をこまめに洗うこと、温かい水分を摂ること、栄養バランスのよい食事を摂ること、無理をせずに休むこと、そして十分な睡眠をとるために早めにスマートフォンの電源を切ることです。加えて加湿や換気、マスクやワクチン接種も重要です。

風邪を完全に避ける方法はありませんが、病気になる回数を減らし、より早く回復する方法はそれなりにあります。目標はすべてのウイルスを避けることではなく、健康でいるための科学は、ベッドや洗面台、台所やオフィスから始まります。

小さな習慣の積み重ねが、最も確実な予防法になると知っていただければ幸いです。

谷本 哲也 内科医

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たにもと てつや / Tetsuya Tanimoto

1972年、石川県生まれ。鳥取県育ち。1997年、九州大学医学部卒業。医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック理事長・社会福祉法人尚徳福祉会理事・NPO法人医療ガバナンス研究所研究員。診療業務のほか、『ニューイングランド・ジャーナル(NEJM)』や『ランセット』、『アメリカ医師会雑誌(JAMA)』などでの発表にも取り組む。

 

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