医師が教える「エビデンスのある風邪予防」――"手作り塩水鼻スプレー"で症状緩和、ビタミンCやD、ハチミツ、加湿器、瞑想なども徹底紹介

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

人混みやこもった室内の空気、ドアノブ、スマートフォン、手すり……。身近にウイルスが存在するため、残念ながら完全な予防法はありません。

しかし、地味でささやかながら、ある程度の効果が見込める方法もあります。本稿ではエビデンスのある風邪予防についてお知らせします。

■手洗いという最強の武器

新型コロナの流行時に話題になりましたが、石けんと水で手洗いすることが依然として最強のウイルス対策であることを、今一度思い起こしておきましょう。

複数の研究をまとめた報告によれば、石けんで少なくとも20秒間、指先や指の間、手首まで含め手を洗うことで、風邪など呼吸器感染症が約2割程度減少することがわかっています。ちなみに20秒という時間は、『ハッピーバースデー』の歌を2回歌う長さに相当します。

注目すべきは、1日に10回以上手を洗う人は、風邪のリスクが最大4割も低くなるという事実です。 面倒がって手を濡らすだけですませている人もいますが、それでは不十分です。

手洗いは驚くほどシンプルでローテクな方法ですが、この優れた衛生習慣はどんな薬よりも科学的に証明された、最も確実な予防法なのです。

ただし、何事もやりすぎには注意が必要。手を洗いすぎると皮膚のバリア機能が壊れ、乾燥や手荒れ、細菌感染を招くおそれもあります。そのため、ぬるま湯と低刺激の石けんを使い、洗ったあとはすぐに保湿して皮膚を守ることが大切です。

医学会で話題の「鼻スプレー」

■塩水の鼻スプレーの意外な効果

最近、医療界で話題になっている研究も1つご紹介しましょう。薬ではなく塩水に関するものです。

24年9月にヨーロッパの学会で発表された研究で、親が風邪を引いた幼い子どもに「2.6%の生理食塩水の点鼻スプレー」を1日4回行う効果が確認されました。点鼻スプレーをした子どもは通常のケアを受けた子どもよりも2日早く回復し、家族が感染する確率は30%低下しました。

2日という期間は、子どもにとっても親にとっても大きな違いです。学校や保育園を休む日数が減り、親の仕事への影響も最小限に抑えられます。

研究者たちは、塩水が鼻や喉の粘膜細胞が作る抗ウイルス化合物、次亜塩素酸の自然な生成を促進すると考えています。単に水分そのものが効果をもたらしている可能性もあります。

次ページビタミンやミネラルの効果は?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事