ほとんどのケースはそうではないようです。お酒の席で会いそのままいっしょに飲んで、ほとんどがその場限り。肉体関係になることもありますが、それもほとんどが一夜限り。
このような付き合い方をフックアップ(Hook up)と言います。いま米国では大学生を中心に常態化していると言われていて、こうした文化をフックアップ・カルチャーと呼ばれています。フックアップはすでに大学を卒業した若者の間でも行われています。
「フックアップ」の3~4割が肉体関係に
フックアップ・カルチャーについては、スタンフォード大学の社会学者ポーラ・イングランドが行っている継続的な調査が有名です。それによるとフックアップの3〜4割が肉体関係(カジュアルセックス)になり、ほとんどの場合、お酒が伴っています。大学4年生はこうしたフックアップを平均4〜7回経験するともいいます。
簡単にメークアウト (キスなど性的な体の接触)やセックスまで行ってしまう、フックアップ自体はさほど新しいものではありません。でもフックアップがミレニアルズの象徴のように言われているのは、ソーシャルメディア、そして先ほど触れた人気のデートアプリ「ティンダー」の影響が絶大です。
ご存じのとおり、フェイスブックは人と人との出会いを革命的に簡単にしました。それを何倍にも増幅したのがデートアプリです。特にティンダーの「気に入ったらスワイプ」のお手軽さに、特に男性たちがすっかり虜になってしまっているようです。
また女性はセルフィー(自撮り)した写真をさまざまなフィルターを使い、どれだけ自分を魅力的に見せるかに夢中になっています。このゲーム性の高さがもとからあったフックアップ・カルチャーに見事にハマってあっと言う間に市民権を得ました(なお、ティンダーのユーザーは2014年末の時点で世界5000万人に広がっています)。
そして一昔前なら「出会いサイトは不安」とか「普通に出会えない“負け犬”が使うもの」というレッテルが貼られたでしょうが、ソーシャルメディアがこれだけ日常のものになった今、まったく相手のことを知らずに会うより「いいね」の数で判断できるデートアプリの方がよほど信用できるとミレニアルズは感じているようです。
こうした現状に対し警鐘の声もあります。フックアップばかりになって、本来の「デート」というコンセプトが消滅してしまうのでは?というのです。
デートをするためには、相手に自分が興味があることを伝え、一緒に見たい映画を決め、レストランも吟味、そしてデート自体も会話術であったりとスキルを要します。デートを成功させるためにはかなりの時間とエネルギー、そしておカネが必要です。
ところがフックアップの場合、特にアプリを使えばあっと言う間に相手が見つかり、映画だのお食事だのという面倒で難しいプロセスを経ずに目的を達することができる(フックアップには大学のクラブハウスなど気軽な場所が使われることが多いようです)。しかもお互いに一回限りだからあと腐れもない。お手軽なうえにおカネもかかりません。