「未練はある。続けたい」それでも家族のために引退 最初は妻が辞めると言っていたが・・・寺田学議員(49)が明かした理由と永田町への違和感
「若干意外だったのは、やっぱり信じてくれない人が多いっていうか。重病説や女性スキャンダル説を挙げる人が結構多くて、まあ、そんなもんなんだろうなと。ある党幹部からは露骨に『ところで、辞めて何すんの』と言われました」
自らの公設秘書だった静氏と結婚し、長男を授かった。静氏が参院議員に当選したのは6年前。この間、夫婦2人で協力し、時にはシッターを活用しながら議員活動と子育ての両立に取り組んできた。
最初は妻が「辞める」と言っていたが・・・
夫婦ともども平日は東京、週末は秋田に戻る共働きの日々。長男が幼い頃は秋田に連れて行ったものの、小6に成長した今、習い事やクラブ活動など行動範囲が広がり、難しくなった。子どもなりの悩みも抱え、思春期ゆえのトラブルも生じる。
次第に、全県が選挙区で広範なエリアを回らなければいけない参院議員の妻を優先して地元に帰し、自身は東京に残り、子どもと向き合う生活がメインになった。
「最初は両立できると思ってました。ただ、高学年になって、心が成熟し始めるときの子育ての在り方は、やはり違う。3、4年経って、『2人でやるのは無理だし、限界だな』と話し始めました。最初は妻が辞めると言いましたが、ここ数年『あなたがやるべきだ』という話をずっとしてきました」
学氏が拾いきれないような有権者の声が、静氏のもとには普通に届く。共働き子育て真っ最中の学氏が女性活躍や弱者救済と口にしても、まったく響かない一方、静氏は女性からも男性からも幅広い支持を集める。
そんな様子を間近で見せつけられ、抱いた思いは妻に対する心の底からのリスペクト。自分よりも妻が議員でいたほうが、国政のため、女性議員が一人しかいない地元・秋田のためにつながる。
「妻に焼きもちを焼くことはない。正直、俺の代わりはいくらでもいるだろうけど、妻の代わりはいません」。未練はあるが、妻の政治キャリアを継続させることと引き換えに、自らが身を引く決意を固めた。
男性の育児休業が広がっても、取得は短期間の「取るだけ育休」が大半なのが実態だ。ライフステージの変化を余儀なくされる女性と比べ、男性のキャリア中断は日本社会との親和性が極めて低い。よって、寺田氏の決断は周囲から驚きを持って受け止められる。
自民党が政権を奪還した2012年の衆院選で、36歳の学氏は落選した。捲土重来を目指し、地元活動に力を入れていた最中、長男に恵まれた。無職のまま、長男が1歳になるまでは家事・育児に専念。
その間、静氏は仕事を始めた。この経験を踏まえ「妻に稼いでもらって、自分が家事や育児をしても、卑屈にならないっていうのはわかっています。妻に稼がれることへの不安は全然ない」と言い切る。


















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