「未練はある。続けたい」それでも家族のために引退 最初は妻が辞めると言っていたが・・・寺田学議員(49)が明かした理由と永田町への違和感

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27歳で初当選した学氏は、そんな永田町への違和感を拭いきれない。

「子育てを『手伝う』っていう意識は僕にはなく、『主体のひとり』だと思って、子どもを育てている。永田町でイクメンを自称する人たちでも、実際にやっているかどうかはすぐ透けて見えるんで、もどかしさがある。自称している人の奥さんと議員宿舎で会うと、『うちの人、イクメン面してるけど、何もやってくれないのよ』と俺に言いながら、怒ってるから」

学氏によれば、最近の若い男性議員の中には、家事・育児に参画したい人も少なくないという。しかしながら、盆踊りやお祭りなどの参加回数がモノを言う世界であるのも、残念ながら現実だ。「(両立は)やはり難しいとは思う。地元活動をやらなきゃ、やっぱり勝てない」と自らの経験を通じて振り返る。

男性議員が全力で働ける裏には誰かの支えがある

ただ、「顔出したとかだけじゃなくて、この人は何を考えてどういう活動をしているのかという点にも関心を持ってほしい。それに対し、議員も情報発信をしっかりするのが大事」として、政治家と有権者の双方が歩み寄る必要性を強調する。

「男性議員が全力で働いていられる背景には、誰かが見えないところで一生懸命やってるということを、是非理解してほしいと思うし、感謝してあげてほしいなと思います。

誰かのために誰かが辞めるとか、誰かのために誰かが我慢するっていうのは、俺はいいとは思ってない。思ってないけど、わが家のように、国会議員同士という特殊な夫婦での子育ては、そうならざるをえなかったと思う。本当はどっちも働き続けられるような環境がいいと思いますが」

常在戦場の衆院で、いつまで議員でいられるかはわからない。しかしながら、視線はすでに妻を支え、子どもを育てる生活に向けられている。これまで、食事以外ほぼすべての家事を担ってきた。今年夏の選挙で再選を果たした静氏は、議員活動に全振りすることになる。

寺田学衆議院議員
寺田学(てらだ・まなぶ)/衆議院議員。1976年(昭和51年)秋田県横手市生まれ。横手高校、中央大学を卒業後、三菱商事に入社し東南アジア諸国を担当。2003年、秋田1区から衆議院議員に初当選。現在、7期目。在職20年。立憲民主党(筆者撮影)

「自分で辞めるという判断をしたので、妻の事務所に顔を出すことになる後ろめたさはないですね。落選して、立場がなくなった後だったら、違ったかもしれませんが。その辺は、自分で(頭の中を)整理しています。妻には、自由に気兼ねなく6年間やってもらいたい。夫婦として信頼しているし、政治家としてもすごく期待してます」

「女性初の総理が登場した意味合いはすごく大きい」と、ファーストハズバンドの誕生と合わせ、手放しで評価した学氏。長男とのスリランカ旅行ですっかり日焼けした表情を浮かべ、終始リラックスした口調で筆者の質問に答えてくれた。

かつて、とりわけ与党時代はギラギラした雰囲気を全身から醸し出していた。一大決心をした今、余計な肩の張りが抜け、以前よりも自然体に感じられた彼に、新たな男性の政治家像が垣間見えた。

小西 一禎 千葉科学大学教授、ジャーナリスト

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こにし・かずよし / Kazuyoshi Konishi

1972年生まれ。慶應義塾大卒業後、共同通信社入社。2005年より政治部で首相官邸や外務省など担当。2017年、妻の米国赴任に伴い会社の休職制度を男性で初取得、妻・二児と渡米。2020年、休職期間満期で退社。コロンビア大東アジア研究所客員研究員を歴任。駐在員の夫「駐夫」として、多数の執筆・メディア出演・講演・社会貢献活動。「世界に広がる駐夫・主夫友の会」代表。著書に『妻に稼がれる夫のジレンマ』など。専門はジェンダー、キャリアデザインなど。

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