「サイコパス」は先天的なものか、あるいは後天的なものか? 脳の研究から明らかになってきた「サイコパスの正体」

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サイコパスの研究では、脳の扁桃体という感情の処理に関わる領域の機能不全があるという主張があります。おそらくは生得的な問題であり、遺伝の要因が強いのではないかと言われてきました。

しかし、当然ながら、生まれた後の生育環境も影響を及ぼしていると考えられます。

サイコパスに限らず、子どもの健全な発達全般に関わってくる部分ですが、例えば、幼少期の家庭環境がどうだったか。虐待などを受けずに、家族と愛着を形成できる環境にあったかどうかは非常に重要です。

また、ご飯が普通に食べられて、教育にもある程度お金をかけられたか、そうでなかったかという経済的な側面も重要です。

やはり、基本的な生活を支えられる収入がなければ、どうしても教育にかける時間も減ってしまい、万引きなど様々な犯罪行為につながってしまうことがあります。

また、住んでいる地域、周囲の大人がどういう行動をしているかというところから学習が進んだりもします。治安の悪さや貧困の状況などは、サイコパスのような傾向や行動を強化してしまうとされています。

サイコパスは「罰」から学習できない

研究の分野では、サイコパスのアドバンテージについての話が出てくることもあります。つまり、サイコパスが持つ特徴になんらかのメリットがあるのではないかという話です。

サイコパスの人は、罰から学習することが苦手であると言われます。例えば、小学校の頃に何か悪さをしたら、先生から怒られるので、同じことを繰り返さないよう学習するわけですが、サイコパスの人は自分が悪いことをして罰を受けても、それを気にしない。

また、他者の苦痛を認識することも苦手であるとされています。喧嘩をしている時にうっかり手が出てしまって、相手が泣いている、痛そうにしている、でもそれが気にならない。

そういう状態で大人になってしまうと、道徳的な価値観の学習が十分ではないので、頭に来てすぐに手を出してしまったり、物をくすねてしまったりということが起こります。

一方で、こうした特徴によって、リスクを恐れずに、失敗しても次のアクションに向かえるということもあるでしょう。これは、ひょっとすると、新しいことをするときに大事な資質かもしれません。

そういう意味で、サイコパスというのは、適応的な側面もあるのではないかというわけです。

ただ、だからといってサイコパスにおける犯罪や問題行動が正当化されるわけではありませんし、適応的と言い切れるかどうかは、科学的にも十分なエビデンスがあるわけではありません。

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