「賞味期限は2時間」、ほっかほっか亭が守り抜く「できたて」の絶対的価値。米高騰で赤字になっても貫いた「おいしいごはん」のこだわりとは?

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ほっかほっか亭の外観
「温かい弁当を提供するチェーン」の元祖・ほっかほっか亭(写真:筆者撮影)
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食・中食チェーンの経営課題や現場の工夫を探る連載「外食ビジネスのハテナ特捜最前線」。今回は、創業50年を迎える「ほっかほっか亭」を取り上げています。
大手コンビニやスーパーが中食メニューを拡充し競争が激化する中で、同社は「できたて」を貫いてきました。店で手づくりして賞味期限2時間、産地買い付け玄米を自社精米して1週間以内に使う——。一見非効率に見えるこの姿勢こそ、最大の優位性であり経営戦略そのものかもしれません。
そこで後編では、同社がこだわる「できたて」「精米1週間」「手頃でおなかいっぱい」の秘密を探ります。
【あわせて読む:前編】「実はのり弁の元祖」「"ほか弁"は店名の略称」なのに…。《若者に認知が薄い》老舗「ほっかほっか亭」が本気で挑むZ世代獲得4つの戦略

「赤字にならない?」→赤字だった

2025年6月、深刻な米不足から米が高騰し、「古古古古米」が出回ったことが話題になっていたある日、筆者は「ほっかほっか亭」を利用した。

購入したのは490円ののり弁。古米や古古米、ひょっとしたら古古古古米を使っていても文句の言えない値段だ。そう思ってごはんをひと口食べて驚いた。もっちりみずみずしく、噛むとほんのり甘い。新米のようなおいしさだったからだ。隣で食べていた息子と顔を見合わせ、「ごはんがおいしいね!」とハモってしまった。

どうして米不足の折に、あんなにクオリティの高いごはんを安価で提供できたのか。赤字にならないのか――。大きなお世話だが商品開発責任者の信木竜司さんに尋ねたところ、本当に赤字だった。

2025年3月期、ほっかほっか亭を含む親会社ハークスレイの中食部門売上高は過去最高173億2500万円を記録するも、米の高騰を受けての値段調整が追いつかず、FC加盟店のマイナスを本部で吸収したからだ。

2024年の第1・第2四半期の営業利益は赤字、しかしその後、値段調整で黒字に転じる。2024年3月期は2億5900万円を計上。だが2025年3月期、再び営業赤字約7000万円に転落している。

ほっかほっか亭のごはん
ほっかほっか亭が最もこだわっているのはごはんのおいしさ(写真:ほっかほっか亭総本部提供)
【写真】ほっかほっか亭の取り組みがわかる写真など(9枚)
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