東大生「何も見ずに書く」勉強効率を最大化する"参考書使わない"驚きの勉強法とは

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このアクティブリコールを、スポーツでたとえるなら「筋トレ」です。参考書を読むのがストレッチだとしたら、アクティブリコールはバーベルを持ち上げるトレーニングにあたります。

ストレッチだけでは筋肉はつきません。実際に負荷をかけ、筋繊維を壊して修復することで強くなるのです。記憶も同じで、「思い出せなかった」という経験こそが、記憶を強くします。

また、アクティブリコールのもう1つの利点は、「自分が何を知らないか」を明確にできることです。

参考書を読むと、知っている部分も知らない部分も同じように目に入るので、自分の弱点が見えにくいのです。

しかし、白紙に書き出してみると、思い出せなかった部分がそのまま“空白”として残ります。

この空白こそが、次に勉強すべきポイントです。言い換えれば、アクティブリコールは“自分専用の復習ガイド”にもなるのです。

実践法:白紙で行うアクティブリコール

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実際にこの方法を試してみるのはとても簡単です。

例えば世界史を勉強するとき、A4の白紙を1枚用意して、見出しも何も書かずに、思い出せる限りの知識を書いていきます。

「古代メソポタミア」「ギリシャ」「ローマ帝国」「唐・宋」「ルネサンス」など、年号や人名、出来事を思いつくままに書いていきましょう。

時間は1時間でも2時間でも構いません。大事なのは何も見ないでやることです。終わったら、参考書やノートを開いて自分の書いた内容と照らし合わせます。

そして抜けていた部分や間違えていた部分を赤ペンでチェックし、次の復習ではそこを重点的に覚え直します。この「思い出す→確認する→修正する」という流れを繰り返すことで、知識は“つぎはぎの暗記”ではなく“全体の構造としての理解”に変わっていきます。つまり、点ではなく線、線ではなく面として、知識がつながっていくのです。

何を隠そう、この勉強法は東大生の間でもよく行われています。僕自身も受験生のころから実践していました。僕は毎日夜、寝る前の15分ほどを使って、その日に勉強した内容を手帳やノートにまとめていました。

東大生に話を聞くと、「今日やった数学の問題で、間違えた箇所はどこだったか」「英語の長文で、どんな単語を見落としたか」「世界史で覚えられなかった年号は何だったか」などを、参考書を閉じたまま自分の言葉で書き出していく習慣があったという人は多いです。もちろん、完璧に思い出せない分野もあります。しかし、むしろ、うろ覚えのまま書いてみることで、自分の記憶の“あいまいな部分”が浮き彫りになります。

そしてそのあと、参考書で答え合わせをして、抜けていたところを一言メモしておく。これを毎日続けるだけで、知識の定着率が驚くほど上がります。このようにして、インプットではなくアウトプットを重視し、頭を使っている時間を濃くしていくことで、勉強の成果を最大化する訓練をしている人が多いわけです。

もちろん、参考書を使うこと自体が悪いわけではありません。でも、常に「参考書に頼る」状態では、頭を使うチャンスを失ってしまいます。大切なのは、「思い出す時間」をどれだけ作れるかです。

模試の復習、授業後の復習、試験前の総まとめ──どんな場面でも、一度は白紙を使って自分の頭の中だけで再現してみてください。最初は不安かもしれませんが、やってみると「思い出す力」がどんどん鍛えられていくはずです。参考書を閉じて、何も見ずに書き出す。それこそが、実は最も“頭を使う勉強法”なのです。

西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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