「二度と帰らない父」「どこかで踏ん切りをつけないと…」 ゴミ屋敷と化した"父不在の実家"を《勝手に断捨離》した結末

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「(断捨離の)見積もりで『どんな荷物がありますか?』と聞くと、モノ屋敷の住人は『冷蔵庫、洗濯機、ベッド、テレビ、あとは細々としたモノ』と言うことが多いです。しかし、この『細々としたモノ』の量で見積もり額が大きく変わってきますし、真っ先に減らすべきものでもあるんです」

二見氏は、「断捨離」をこう定義する。

「断捨離とはこの『細々としたモノ』をいかに減らすか、それがすべてなんです。大型の家具や家電はどの家にもあります。『細々としたモノ』の量によって、モノ屋敷か否かが決まっているんです」

その「細々としたモノ」から「いるもの」と「いらないもの」を分別する際のコツは、思い切りだという。

「新生活が始まったときは『モノが足りない』くらいでいいんです。『使うかも』くらいのモノはすべて捨ててしまう気概で『細々としたモノ』は捨てていったほうがいい」

ゴミ屋敷
細かいモノも大型家具も、どちらの物量も多かった今回の家(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「捨てるまでには勇気がいる」

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作業開始から約5時間。モノで埋まっていた2階と3階のスペースから、次々と家財が運び出されていく。一部を残し、中学生時代のステレオも、阪神タイガースのタオルも、ほとんどが撤去されていく。その様子を、依頼主の男性は複雑な表情で見守っていた。

「モノがなくなっていく様子は、寂しいのは寂しいですよね。でも、どこかで踏ん切りをつけないと前に進めないのでね。モノを捨てるってすごい度胸がいることです。でも、一旦捨て出すと意外とスムーズにいけるものだと改めて思いました。捨てるまでには勇気がいるけど、捨て出したらポンポン捨てられる」

5時間前は少しうつむき加減だった男性の声は、明らかに晴れやかなトーンへと変わっていた。

ゴミ屋敷
2階のキッチンと奥のリビングスペースはすっきり片付いた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
ゴミ屋敷
3階の物置部屋もぎっしりと詰まっていたモノたちがなくなった(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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