父親が施設に入所したことを機に男性が片付けを決断したように、引っ越しはモノ屋敷の住人にとって家をリセットするきっかけになりうる。だが、すべての住人が引っ越しを機に生活を変えられるわけではない。むしろ、悪化してしまうケースもある。イーブイ代表の二見氏が話す。
「モノ屋敷の人って新居の許容範囲を把握できていないことが多いんです。現状、モノで部屋が埋め尽くされているにもかかわらず、今住んでいるところより狭いところに引っ越そうとするんです。いつも『絶対に入らないですよ』と私も言いますが、みなさん『いや、そんなに量多くないですよ』と答えます」
経済的な問題から、家賃を下げて狭い部屋を選ばざるをえないケースもあるだろう。しかし、それよりも自分のモノの総量をつかめていないことが根本的な問題だという。
「100個近いダンボールを入れるだけなら、なんとか新居に運び込むことはできるかもしれませんが、その後に開封できないです。結局、家中がダンボールでパンパンに埋まっている状態が続きます。そして、またモノが増えて収拾がつかなくなっていくんです」
対策は2つに1つだ。
「だから、モノ屋敷の住人は今住んでいるところより広いところに住むか、モノを捨てるしかありません。ダンボールに詰めるということは、モノの量が圧縮されているということなんです。当然、広げたら膨らみます。捨てられないとわかっているなら、最初から1部屋を物置にしてしまうのもアリです。その部屋からモノがあふれた時点で捨てると決めておく。そして、ほかの部屋に持ち込まないようにすることです」
断捨離とは「細々としたモノ」を捨てること
では、モノ屋敷の住人が引っ越しなどで断捨離を決意したとき、何から手をつけるべきなのか。二見氏によれば、多くの人がまず大型家具を捨てようとするというが、これも間違いである。


















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