飲酒「適量なら健康にいい」は本当か?医師の明確すぎる回答とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

お酒に強いALDH2活性型保有者でも、アセトアルデヒドを高速で生み出してしまう体質(ADH高活性型)だと、多量飲酒を続けた場合に食道がんリスクが約12.4倍に跳ね上がります。

一方、お酒に弱いALDH2低活性型の人は、そもそもアセトアルデヒドの分解が苦手なため、少量の飲酒でも体内に溜まりやすく、やはり食道がんリスクが高まります。

赤ワインの「健康イメージ」

赤ワインが健康に良いとされる根拠のポリフェノール「レスベラトロール」ですが、研究で効果が確認された量を赤ワインで摂ろうとすると、1日に数百〜数千杯に相当します。ポリフェノールが目的なら、緑茶など他の食品で摂るほうがはるかに現実的です。

アルコールは飲まない/減らすほどリスクは確実に下がります。新たに“少量飲酒”を始める科学的メリットは現状ほぼありません。

飲酒習慣がある人のリスク低減策
・1日あたり純アルコール10g未満(ビール中瓶0.5本)を上限に
・週2日以上の休肝日を連続で設け、肝臓の回復を確保
・遺伝子検査を活用:ADH1B・ALDH2のタイプを数千円で把握可能。体質を知ることは行動変容の強力な支えになる

飲酒と向き合う医師の立場として、患者さんから「少量なら健康に良いか」と問われれば、「利益はほぼ期待できず、害は確実にある。飲むならできる限り少なく」と答えざるを得ません。

日本人の遺伝体質を考慮すると、「飲まない」が最も賢明です。どうしても飲む場合でも量と頻度を最小限に抑え、定期的に体調指標をチェックしましょう。

小さな町の精神科の名医が教える メンタルを強くする生活習慣
『小さな町の精神科の名医が教える メンタルを強くする生活習慣』(アチーブメント出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
飯塚 浩 メディカルストレスケア飯塚クリニック 院長 精神科医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いいづか ひろし / Hiroshi Iizuka

精神科専門医 臨床CBDオイル研究会 代表、日本オーソモレキュラー医学会理事 PAPT(頭頂部鍼療法)研究会理事

鳥取大学医学部精神神経医学教室に入局後、難治性うつ病、躁うつ病を中心としたとくにストレスホルモンを軸にした研究に従事。難治性病態の治療の傍ら、漢方や心理療法にも積極的に取り組む。

平成8年より家族機能研究所・さいとうクリニックにおいて、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、家庭内暴力などの家庭問題、アルコール薬物問題、摂食障害、ギャンブル、買い物依存、借金など多数の嗜癖問題、災害や犯罪被害によるPTSDなどの問題の臨床と研究に同クリニック副院長として取り組む。 平成11年より鳥取大学医学部附属病院に戻り、同大学病院心理療法室の主任などを経て、平成13年4月よりメディカルストレスケア飯塚クリニックを開院。

一般的な精神科薬物療法の工夫にとどまらず、オーソモレキュラー栄養療法、漢方、頭鍼治療(PAPT)、カンナビノイド医療などを用いて臨床的成果を上げており、専門家向けセミナー、講演などで積極的に情報発信をおこなっている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事