インドの安宿で受け取った「薬」がよく効いた理由。出会ったばかりの韓国青年はなぜ大事な薬をくれたのか? 分断の時代に思い出す「旅の1コマ」
小さな1コマから見えてくるのは、地域や国の課題であり、
病に倒れたインドで受け取った温かさ
NewsPicksの編集長を退任して約1年半前にフリーランスのライターとなり、勝手気ままに旅をしながら文章を書いたりPodcastを配信したりするようになった。経済メディアからキャリアをスタートしてきた自分が、まさか旅を仕事の一部にするとは思っていなかった。その元を辿ると、20歳の時、初めての海外旅で経験したある親切に行き着く。
20歳、初めての海外旅行。行き先はインドだった。ヒンドゥー教の聖地・バラナシで、私は見事に体調を崩した。前日、ガンジス川に潜ったのが悪かったのだろうか、とにかく腹を下し、高熱が出て、安宿のベッドで動けなくなった。
バラナシの安宿には、世界中からバックパッカーが集まる。帳場の横には大抵、簡易的なソファが置かれた懇談スペースがあり、宿泊者たちはそこで情報交換をしながら時間を潰す。1泊500円ほどの宿に、若者たちがひしめき合っていた。私が体調を崩したという噂は、あっという間に宿中に広まった。そして翌朝、部屋のドアがノックされた。


















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