大阪万博の展示品はこのあと、どこへ行くのか? 熱狂も冷めやらぬなか、パビリオンや設備の移設先が続々と決定、その背景

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「2億円トイレ」
万博が始まった当初、揶揄する目的でついた「2億円トイレ」の名前がそのまま愛称となり、わざわざ写真を撮りにくるファンまで大勢生み出したトイレ5。設計者の米沢隆はXで積極的な発信を続け、万博終盤には連日のように会場に足を運びファンサービスを行っていた(筆者撮影)

GREEN x EXPOに形を変え再活用されるパビリオン

次の万博で再びパビリオンとして再活用されるものもある。建築家の永山祐子は、すでに大阪・関西万博でその実績を作っている。

日本館の隣、水辺に建っていた白い組子のファサード(外観)の建物「ウーマンズ パビリオンin collaboration with Cartier」(内閣府、経済産業省、リシュモン ジャパン株式会社 カルティエ、博覧会協会によるパビリオン)は、2020年に開催されたドバイ万博で人気が高かった同氏が手掛けた日本館のファサードを引き取って再活用したものだった。

「ドバイ万博日本館は、コロナ禍で現地に赴くことが困難な中、完成しました。そして、開幕1カ月前にして初めて実物を目にしたとき、万博が終了する半年後には解体されてしまうことを想像し、『持って帰りたい!』と強く思ったところからリユースプロジェクトがはじまりました。そこから幸運なことに、さまざまな出会いがあり、多くの方にサポートをいただき、大阪・関西万博にてウーマンズ パビリオンとして新しく生まれ変わりました」と永山は語る。

その際、すでに次のリユース(再利用)に関しても意識をしており、もし次に持っていくのであれば、次期開催の博覧会である横浜のGREEN × EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)がいいのではないか、と考え「一度できたことはもう一度できるはず、という思いで公募に参加」したところ無事に採択されたという。2027年の同万博では、あの組子ファサードの建材が屋内出展施設(仮)のファサードとして再活用される予定だ。永山は「移した場に合わせて自由にトランスフォームしていく姿は、新しい建築の可能性として『動く建築』と名付けている」というが、この考え方はGREEN × EXPOが掲げる環境に配慮された「GREENサーキュラー建築」の考え方とも合致する。

また永山といえば、大阪・関西万博で、もう1つパナソニック館「ノモの国」の建築も手掛けているが、実はこちらのファサードやライトアップ演出に使用していた照明(40台)、スピーカー(12台)やミスト設備もGREEN × EXPOで、「Urban GX Village」エリア内に出展予定の東邦レオ株式会社の施設、STUDIO(仮)のファサードとして再活用される。

元々、家電製品の部材をリサイクルして作られた同パビリオンだが、ファサード以外には応接室と多目的トイレで利用していたトイレ設備は京都大学、外構部に利用していた舗装ブロックや設備機器は株式会社大林組の技術研究所(東京都清瀬市)内の実験棟「オープンラボ3」に移設するなど再活用に積極的で建築物のリユース・リサイクル率99%以上を達成したという。

パナソニック館の隣に出展していた三菱未来館もGREEN x EXPOで再活用予定だ。半年間の万博のパビリオンということで、ポリカーボネートの折板や鋼製足場板など仮設資材で作られていた同パビリオンだが、GREEN x EXPOに再び出展予定の三菱グループのパビリオンとして再活用される予定だという。解体した建物から木材を選別し木粉化。樹脂と混ぜて成型し、3Dプリント技術を用いて再生産することで新たな建設資材に生まれ変わらせ三菱グループ展示施設の外装材に活用するという。

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