累計8億本!キリンビールの糖質ゼロがバカ売れのワケ 発売から5年も成長維持。健康志向の高まり見据えた次なる戦略とは
キリンビールの糖質ゼロ製品が快走している。2020年に国内で初めてビールカテゴリーで糖質ゼロを実現した「一番搾り 糖質ゼロ*1」は、累計販売本数が8億本を突破。2025年6月製造分からは中味・パッケージともにリニューアルし、さらに販売を伸ばしている。*1食品表示基準による
健康志向を追い風に市場は拡大を続けるが、発売から5年を経ても成長を維持しているブランドは珍しい。その背景には、350回を超える試験醸造を重ねて“おいしい糖質ゼロ”を実現した技術革新と、ビール市場の再編を見据えたキリンの長期戦略があった。
今回は、全国9カ所のキリン工場見学施設すべてを実際に訪れた筆者が、開発現場と企業戦略の両面からその裏側を探った。
糖質オフ・ゼロ系市場を牽引する存在
健康志向の高まりを背景に、糖質オフ・ゼロ系ビール市場は拡大を続けている。かつては「物足りない」「おいしくない」と敬遠されたジャンルだが、近年は「おいしくなった」「食事に合う」との声が増え、市場は右肩上がりだ。
その中でもキリンビールの「一番搾り 糖質ゼロ」は、「おいしさ」と「糖質ゼロ」という従来相反する要素を両立し、市場の拡大を牽引してきた。糖質を抑えながらも、ビールらしい満足感を損なわない。それをどう実現するかが最大のテーマだったという。
もともと「一番搾り 糖質ゼロ」の開発は、前例のない挑戦だった。ビールは酒税法上の制約が多く、発泡酒や新ジャンルのように原料や製法の自由度がない。糖質“オフ”にとどまらず“ゼロ”を目指すには、既存の技術を根本から見直す必要があった。



















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