高市早苗・自民党総裁が首相になっても、「『経済・財政政策』は必ず破綻する」と断言できる理由

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まあ、政治的に高市政策は継続不可能だから、現実的にはそんなに心配しなくてもいいのだが、この間違った経済政策と大同小異の政策を唱える政治家たちも一部いるので、警告はしておく必要はあるだろう。政治として責任をもって、日本経済を破綻させるというのだから、その結末を論理的に述べておくのが、学者の役割である。

積極財政こそ日本経済を停滞させると言える3つの理由

最後に、実際的な議論の必要性がより高いのは、責任ある積極財政の悲惨な結末の見通しであろう。積極財政は、現在の日本においては最悪である。財政破綻するかどうかの問題以前に、日本経済を停滞させているのは、積極財政のせいなのだ。

第1に、政府債務のGDP比の水準が200%を超えようが、300%を超えようが、確かに財政破綻するわけではない。誰かが(日銀が)国債を買い続ければ、政府は財政破綻しない。財政破綻はストックの問題ではなく、フローの資金の詰まりなのだ。

では公的債務のGDP比とは何を意味するか。それは、公的部門が、どれだけ民間経済から寄生虫のように吸い取っているかを表している。政府債務残高約1200兆円とは、政府が借金をしていなければ、民間に投下できた資金、潜在的な資本額なのだ。

経済成長は、資本と労働の投下量(およびその質)で決まる。その資本を1200兆円分、民間が投下する機会を奪って、政府部門に滞留させてしまっているということだ。そりゃあ成長するはずがない。事業投資は金融投資よりもリターンはほぼ常に高いから、米国10年物国債程度には事業投資によるリターンは最低でもあるはずだ。

すなわち、4%として、48兆円の事業利益を政府債務1200兆円で日本経済から奪っている、ということだ。GDP600兆円として、8%分、GDP成長率を低下させている。これでは日本経済の活力が失われるのは当然だ。政府債務GDP比200%でも財政破綻はしないが、日本経済は衰弱死する。

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