高市早苗・自民党総裁が首相になっても、「『経済・財政政策』は必ず破綻する」と断言できる理由

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さらに、高市氏は、最先端科学分野を中心とする産業政策を主張しているようだが、本連載に昨年11月に執筆した(「半導体のラピダスはこのままでは99.7%失敗する」)ように、21世紀に成功した政府主導の先端技術のプロジェクトは、日本では1つもない。

それどころか、大失敗ばかりである。実際、ラピダスに対して、政府は何兆円もの巨額の支出を決めているが、民間企業の先端投資はごく少額にとどまり、地元が淡い期待を抱いて地元で建設と消費をしているだけである。

また、海外優良企業の誘致として最も成功した例と思われてきた熊本のTSMCのケースでさえ、先行きには暗雲が垂れ込めている。日本企業側の半導体への需要が弱すぎて、このままTSMCの投資拡大計画を実行するとオーバーキャパシティになってしまうから、TSMCは投資を縮小する可能性があるのでは、ということが一部で囁かれている。

民間企業には不可能なリスクの高い投資を政府がするのは自由だが、政府主導というのは、民間にやる気がないということであり、絶対に成功しない。資本調達がこれだけ容易な21世紀の金融経済の世界では、「民間にはできないが政府にならできることなど1つもない。

今「サナエノミクス」を実行したらどうなるのか

ただ、こんな議論をする必要すらないのは、高市経済政策という名の政治的バラマキ支出は、物価対策としてもまったく機能しないので(そもそも物価対策ですら実行できるかどうか政治的に不明であるし)、産業政策など、先の先の先で、それが実行される見込みはほとんどないからだ。

高市氏の政策はニューアベノミクスとも一部でいわれているらしいが、アベノミクスはそもそも理論的に間違っており、失敗ですらないが、しかし、それでもニューアベノミクスと言われるサナエノミクスよりは100万倍ましである。

2013年のアベノミクス開始当時(議論され始めた時、政権を正式には奪取する前)は、ドル円レートは一時80円割れ、日経平均は1万円割れであり、財政・金融の大幅出動は、考え方としてありうるものだった(異次元緩和はいかなる意味でも経済と金融市場を壊すが)。

しかし、現在の25年は、インフレ下での物価高対策であり、日経平均は4万円台後半でバブルが懸念されており、ドル円は1ドル=150円前後、ドルも世界では弱者通貨であるから、日本円の弱さはほぼ世界一である。ここで財政出動、金利引き上げ阻止とは、赤子でもわかる正反対の政策であり、日本経済を真っ逆さまに墜落させるものである。

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