「東京に行ってから、レコード屋にあるメンバー募集の張り紙に電話をしたりして、バンドをやっていました。東京のバンドはレベルが高く、みんな上手でした。しかしあるとき、高校生のときにバンドをやっていた熱がもう残っていないと気づいてしまったんです。自分はギターがうまいわけではありません。同学年でもめちゃくちゃ上手な人がいっぱいいました。
でも、その人たちも音楽でご飯を食べるのが難しい現状を見て、音楽は趣味として聴くのは好きだが、アーティストとして音楽をやる内的な動機まではないと気づきました。売れている人のように、やりたくなくてもやらざるを得ない、熱い思いを自分は持っていないと気づいたんです。それで、入っていたバンドもやめて、暇になったのでどうしようかなと思って、小説などの本を読み出したんです」
神保町に通うようになった西岡さんは、いろんな本を買って読んでいたそうです。その際に読んだ本で何度か大学の話が出てきたことで、大学に対する興味が芽生え始めました。
方向性を決定づけた葬儀屋でのアルバイト
そして、彼自身が大学を目指す方向性を決定づけたのは、東京でも続けていた葬儀屋でのアルバイトの経験でした。
「当時、葬儀屋のアルバイトはお金が良くて、頑張って働いていたら月に30万円ほど貰えていました。そのときに人の死体をいっぱい見たことが印象に残っています。自分と同年代の人が事故で亡くなったときはとてもつらいものがありました。
一方で、100歳近くで亡くなった人は『天寿を全うして良かったですね』というようにお祭りみたいな感じでした。19歳と100歳の葬儀が同時に行われているときに『命って不平等だな』って思いましたし、自分はもっと好き勝手生きないといけないなぁと思ったんです。
その時期に仕事柄、仏教に接するので仏教や哲学の本を読み始めたところ、すごく面白かったんです。そこで、大学に入ったらたくさん本を読めそうだし、今まで勉強してこなかったから大学で深く勉強したいと思うようになりました」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら