「カフェ難民も取り込む?」日販が手がける"入場料あり"巨大書店《文喫》の秘策

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

事業の開発当時、「日販は『本を届ける』ことはできても『読書そのもの』は届けられない」との思いもあった。そこでBtoBの「卸」からBtoCの「小売」に進出した。直接お客と向き合うことで生の声も聞ける。一連の取り組みで厳しい局面からの打開を目指す。

文喫
ビジネス書が中心のコーナー(筆者撮影)

「現在、人口の6割以上が『月に1冊も本を読まない』(※)という文化庁の調査結果があり、私も店頭で接客しながら日々それを実感しています。

ただ、2025年開業のTAKANAWA GATEWAY CITYという新しい街の本屋として感じるのが、“コアな読書好き”の方だけでなく、“ふだんは本をほとんど読まない”方が購入されること。消費者との接点を増やせば、まだ関心を持たれます。“文喫”という居場所を起点に本と触れ合うことで、読書の入り口を切り拓いていきたいです」

(※)令和5年度「国語に関する世論調査」。文化庁国語課:令和6(2024)年調査

文喫
文喫事業責任者の山元佑馬氏。日販の地域事業開発チーム リーダーも兼任する(筆者撮影)

さまざまな機能に込めた“仕掛け”

高輪の店は「入場料制」とはいえ、ビジネス書、コミック、児童書など気軽に立ち寄れる無料の書店スペースもある。

入場料が必要なのは、例えば喫茶の「カフェラウンジ」(全223席)だ。異なる3つのラウンジを気分や用途に合わせて行き来できる。金額は60分1100円(税込、以下同)で、延長30分ごとに550円、1日最大3850円となっており、店内にある本が自由に閲覧できる。フリードリンク付きで、別料金で軽食も用意されている。

文喫
カフェラウンジの1つ、座席からは高輪ゲートウェイ駅も見える(筆者撮影)
ドリンク(左)が置かれたカウンター、右は別料金の軽食類(筆者撮影)
次ページミーティングルームも利用されていた
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事